酒井重工業 が11月13日に発表した2025年3月期第 2四半期(4〜9月)における売上高は、国内外ともに販売が減少に転じ、前年同期比14.3%減の143億 8千万円となった。営業利益は、収益構造改革により原価率が改善しましたものの、売上高が減少したことによ り、前年同期比37.4%減の12億3千万円、経常利益は同44.1%減の11億7千万円、親会社株主に帰属する中間純利益 は、投資有価証券売却益2億8千万円を計上し、前年同期比15.1%減の13億円となった。
4〜9月期おける酒井重工業グループを取り囲む事業環境は、コロナ後の経済拡大期が峠を越えて調整期を迎える中で、物価高騰の収束や金融引き締め政策の転換が始まったもの の、世界的な選挙イヤーにおける政策停滞やウクライナ・中東・米中対立に伴う地政学問題が益々先鋭化し、世界の 建設機械市場が減速基調に推移した。
このような情勢の下で酒井重工業グループでは、価格改定の維持並びに事業の高付加価値化と効率化による収益構造改革、雇用環境整備と現場技能者増強等の人的資本投資により、収益構造と人的組織能力を強化した。
■連結地域区分別売上高
海外向け売上高は、建設機械市場が世界的に調整局面に入り、前年同期比16.9%減の77億5千万円となった。
北米向け売上高は、インフラ投資法を背景とした道路建設投資が続きましたものの、金利の高止まりが続く中でデ ィーラ段階の在庫調整が強まり、前年同期比16.2%減の37億8千万円となった。
アジア向け売上高は、ASEAN市場全般で需要が停滞し、前年同期比13.1%減の34億5千万円となった。
その他市場向け売上高は、アフリカ向けプロジェクト案件が実現しましたものの、その他市場全般で販売が伸び悩 み、前年同期比 38.6%減の5億2千万円となった。
■セグメント別
日本:日本では、国内販売が振るわず、総売上高は前年同期比12.1%減の108億3千万円、営業利益も売上高の減少に伴い、前年同期比53.8%減の2億9千万円となった。
海外:米国では、ディーラの在庫調整により販売が減少に転じ、総売上高は前年同期比16.1%減の37億8千万円、営業利益は、販売価格改定と輸送費正常化により、前年同期比14.6%増の6億1千万円になった。インドネシアでは、国内販売及び第三国向け輸出の双方が減少し、総売上高は前年同期比27.7%減の29億8千万 円、営業利益は前年同期比59.5%減の2億8千万円となった。中国では、グループ企業向け製品・部品輸出が伸び悩み、総売上高は前年同期比14.8%減の8億円、営業利益は、 前年同期比41.0%減の6千万円となった。
■連結業績予想などの将来予測情報に関する説明
今後世界の建設機械市場では、短期的にはコロナ後の需要拡大期からの調整局面がしばらく続くものの、景気循環を経て底入れするものと予想している。
中期的には、日米の大型インフラ投資計画や新興諸国におけるインフラ投資と鉱山開発の活発化、更には老朽化インフラの更新需要や災害対策など、建設機械の底堅い潜在需要が期待されますものの、世界的な景気減速や安全保障情勢の更なる緊迫化、急速に進む社会構造変化など、世界経済の先行きは予断を許さない。
このような情勢の下で酒井重工業グループでは、収益構造改革の推進と人的資本投資の強化により、時代の変化に適応した経営体質への転換を進めていく。また引き続き、アジア市場深耕と北米市場展開、海外事業領域拡大、新技術活用による次世代事業開発、需要変化対応力強化を進めるとともに、積極的にESGを推進し、中長期的な事業成長と企業価値向上を目指す。
2025年3月期は、最近の業績動向等を踏まえ、下記に修正した。
売上高272億円(前期比17.6%減)、営業利益17億4千万円(同47.6%減)、経常利益17億円(同48.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益17億円(同30. 3%減)。