三菱ロジスネクストが11月5日に発表した2025年3月期第 2四半期(4〜9月)連結業績によると、売上高は、価格適正化効果や為替の円安影響があったものの、北米でのエンジン認証遅延による影響に加えて、代理店における在庫調整もあり、3,285億4千9百万円 (前年同期比4.4%減少)となった。利益面では、米州での売上減少の影響が大きく、営業利益は154億4千6百万円(同32.1%減少)、経常利益は 123億3千2百万円(同41.4%減少)となった。また、親会社株主に帰属する中間純利益は、固定資産の譲渡 に伴う売却益、中国販売子会社の譲渡に伴う売却損が計上されたこともあり、99億7千3百万円(同39.8%減 少)となった。
なお、のれん等償却の影響を除くと、営業利益は207億4千1百万円(同25.4%減少)となり、営業利益率は 6.3%(同1.8ポイント減)となっている。
このような中、フォークリフトを始めとする物流機器市場は、国内においては、引き続き安定的・堅調に推移している。
海外においては、米州では代理店在庫の調整局面が想定よりも長引き、同社の卸売受注は弱含みに推移していたが、その局面も徐々に解消に向かいつつある。一方で、欧州では一時回復基調にあったものの需要は伸び悩んでいる状況。堅調だったアジアもここに来て伸長が見られず、中国は景気停滞にあって物流機器需要も減退傾向。
同社においては、課題だったリードタイムを正常化させ、価格適正化による収益性の改善も進めながら、安心・安全、自動化・自律化、脱炭素といった物流機器市場のニーズの高まりにも応えている。そのような中で生じた北米におけるエンジン認証遅延による一部機種の出荷停止については、当局との調整の結果、主力機種の出荷を再開して引き続き挽回に努めている。しかしながら、世界経済の成長が鈍化する中で、米国大統領選挙後の動静や中国を含むサプライチェーンに対するリスク、金利や為替の動向、地政学的リスクの長期化などにより、不確実性を増す世界経済の先行きは不透明で予断を許さない状況となっている。
■セグメントごとの経営成績
(国内事業)
国内事業は、受注が堅調に推移する中、価格適正化の効果も寄与したことから、売上高は945億9千1百万円(前年同期比1.8%増加)となった。セグメント利益は、国内販売においては堅調に推移しているものの、海外生産拠点からのライセンス収入の減少や研究開発費等の経費の増加もあって、16億8千4百万円(同46.2%減 少)となった。
なお、のれん等償却の影響を除くと、セグメント利益は41億1千9百万円(同25.8%減少)となっている。
(海外事業)
海外事業は、為替の円安影響はあったものの、北米での一時出荷停止の影響に加え、地域によっては市場の減速もあり、売上高は2,339億5千7百万円(前年同期比6.7%減少)となった。セグメント利益は、売上高の減少及びインフレ等における経費の増加により、137億6千2百万円(同29.8%減少)となった。
特に海外事業の前年同期は、部品欠品が解消されていく中で生産を拡大、出荷を促進して、加えて価格適正化効果の寄与もあり、売上高並びにセグメント利益を大きく伸長させたが、それに反して当期は、北米での一部機 種の一時出荷停止や地域によっては市場の減速などがあったために、売上高、セグメント利益ともに減少している。
なお、のれん等償却の影響を除くと、セグメント利益は166億2千1百万円(同25.3%減少)となっている。
■ 今後の見通し
第2四半期までの実績と足許の事業環境を踏まえて、2025 年3月期の通期連結業績予想を下記のとおり修正した。
売上高6,700億円(前期比4.5%減)、営業利益270億円(同44.0%減)、経常利益210億円(同44.0%減)、親会社株主に帰属する当期純利益180億円(同34.6%減)を見込んでいる。
売上高は、国内市場が堅調に推移したものの、北米における一部機種の出荷停止の影響や代理店在庫調整が想定以上に長引いたことにより、2024 年5月に発表した業績予想を△1.5%下回る見込み。利益は、売上高の減少に加え、北米の認証取得に係る一時費用、操業・工数悪化等による影響を、 価格適正化の効果や経費抑制でカバーしきれなかったこと、中国販売子会社の譲渡に伴う売却損が計上されたこともあり、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益のすべての利益項目において、2024 年5月に発表した業績予想を下回る見込み。
なお、のれん等償却前営業利益につきましては、前回発表と比較して 110 億円の減額となる 370 億円を予想している。