・先端半導体材料の開発・生産・品質評価の設備を増強
・半導体の需要拡大と高性能化に貢献
富士フイルム(東京都港区)は9月30日、半導体材料事業をさらに拡大するため、静岡と大分にある開発・生産拠点において、先端半導体材料の開発・生産・品質評価などの設備を増強すると発表した。設備投資の総額は2約200億円。
5G/6Gによる通信の高速・大容量化、自動運転の拡大、AIやメタバースの普及などにより、半導体のさらなる需要拡大と高性能化が見込まれている。このような中、半導体製造プロセスで使用する半導体材料では、より高品質・高性能な製品をグローバルで安定的に供給することがますます重要となっている。
富士フイルムは、フォトレジストやフォトリソ周辺材料、CMPスラリー、ポストCMPクリーナー、薄膜形成材、ポリイミドなど半導体製造の前工程から後工程までのプロセス材料や、イメージセンサー用カラーフィルター材料をはじめとしたWave Control Mosaic(ウエイブ コントロール モザイク)などをグローバルに展開。最先端から非先端まで半導体製造プロセスのほぼ全域をカバーする豊富な製品ラインアップに加え、日米欧アジアの主要国に製造拠点を有するグローバルな安定供給体制や高い研究開発力を生かしたワンストップソリューションの提供により、顧客の課題解決に取り組んでいる。また、国内外で生産拠点への積極的な設備投資を行っており、半導体材料の生産能力拡大を進めている。
今回、半導体材料事業の中核会社である富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ(神奈川県横浜市)が、静岡と大分にある2つの開発・生産拠点において、先端半導体材料の開発・生産・品質評価の設備を増強する。
また、大分拠点では、約70億円を投資し、既存の工場に隣接する土地に新棟を建設。半導体製造プロセスの基幹材料であるポストCMPクリーナーの生産設備や検査装置を導入し、大分拠点での生産能力を約4割拡大する。ポストCMPクリーナーは、半導体表面を均一に平坦化する工程で使用される。研磨剤であるCMPスラリーを使用した後に、金属表面を保護しながら粒子、微量金属および有機残留物を洗浄する材料で、その市場は年率9%で成長すると見込まれている。今回の設備増強によりポストCMPクリーナーの安定・迅速供給を実現することで、さらなるビジネス拡大を図っていく。また、CMPスラリーと組み合わせて提案できる強みを生かして顧客が抱える課題を解決し、半導体のさらなる性能向上に寄与していく。
なお、静岡拠点の新棟の稼働開始は2025年秋、大分拠点の新棟の稼働開始は2026年春を予定している。
富士フイルムは今後も、最先端から非先端の半導体まで幅広くカバーする半導体材料の開発を加速するとともに、さらなる安定供給を実現していくことで、半導体産業の発展に貢献していく。
■設備投資の概要
<静岡拠点>
場所:静岡県榛原郡吉田町川尻(FFEM静岡工場内)
総投資金額:約130億円
投資内容:先端レジストやWave Control Mosaic™の開発・生産・品質評価機能強化のための新棟(クリーンルームの設置・検査装置の導入などを含む)
稼働開始時期:2025年秋
<大分拠点>
場所:大分県大分市大字下郡字中新地
総投資金額:約70億円
投資内容:ポストCMPクリーナーの生産能力増強、品質評価機能強化のための新棟(生産設備・検査装置の導入などを含む)
稼働開始時期:2026年春
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