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日本触媒、福岡県に新工場建設、リチウムイオン電池用電解質 LiFSI の国内供給体制を強化

 ㈱日本触媒(大阪市中央区)は9月11日、リチウムイオン電池用の電解質として使用され、電気自動車の高性能化(充電時間の短縮化、航続距離の延長、低温環境下の出力向上など)に寄与する LiFSI(リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド、製品名:イオネル®)について、2028 年の商業運転を目指し、新たな設備を福岡県に建設する計画を進めていると発表した。

 同計画は、9月6日に経済産業省の「蓄電池等の安定供給確保のための取組に関する計画(供給確保計画)」として認定された。投資額は最大 375 億円、うち供給確保計画の認定による助成金は最大125 億円を見込んでいる。イオネル®新設備の生産能力は年産 3,000 トンで、電解質として 100%使用された場合のリチウムイオン電池容量は 21.4GWh となり、これを用いた電気自動車は 21 万台に相当する。立地場所としては、物流の利便性や自然災害に対する安全性に優れ、ビジネス拠点として数多くの魅力を有する福岡県において、新たに用地を取得して新工場を建設する計画。

 日本触媒は、環境対応に関するさまざまな社会課題を新たな事業機会と捉えて、技術による解決に挑戦している。温室効果ガスの削減効果が大きい電気自動車およびプラグインハイブリッド車の普及に不可欠なリチウムイオン電池に関し、日本政府は、2030 年までに国内において 150GWh/年の製造能力確立を目標に掲げており、蓄電池産業の競争力強化を図っていく方針。この方針に沿い、日本触媒は、イオネル®新設備を建設し、安定供給を行うことにより、国内の蓄電池市場におけるサプライチェーンの強化ならびに 2050 年カーボンニュートラルの達成と持続可能な社会の構築に貢献していく。

■イオネル®について:LiFSI は高純度化が困難な物質で、その生産や品質管理には高度なノウハウが必要とされる。日本触媒はこれまで培ってきた独自の生産技術力を活かし、世界で初めて残存溶媒や副生物が少なく、安定した電気化学特性を示す高純度 LiFSI(製品名:イオネル®)の工業的生産プロセスの開発に成功した。

 イオネル®を電解質として用いることで、リチウムイオン電池の種々の課題を一挙に解決できることから、自動車の電動化が進むなか、イオネル®はユニークかつ有望な物質として期待されている。

参考:リチウムイオン電池用電解質 LiFSI の国内供給体制を強化

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