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三菱重工、マレーシアからM701F形ガスタービン・蒸気タービンを各1台受注

・ボルネオ島サラワク州に建設される発電設備向け

・将来の水素混焼も視野に持続可能なエネルギーを供給、2027年の運転開始を目指す

・ガスタービン供給に併せ技術員の派遣で据え付けおよび試運転をサポート、長期保守契約(LTSA)も締結

 三菱重工業は8月5日、マレーシアのサラワク州に建設される総出力約50万kWの天然ガス焚きガスタービン・コンバインドサイクル(GTCC)発電所向けに、M701F形ガスタービン1台と蒸気タービン1台を受注したと発表した。プロジェクトのEPC(設計・調達・建設)取りまとめを行う中国シノハイドロ社(中国水利水電建設集団:Sinohydro Corporation Limited)との間でこのほど機器供給契約を締結したもので、2027年の運転開始を予定している。

 この案件は、マレーシアのボルネオ島(注)内に位置しブルネイ・ダルサラーム国と接するサラワク州北東部の都市ミリ(Miri)で、サラワク州政府が100%出資する石油ガス企業であるペトロリアム・サラワク社(Petroleum Sarawak Berhad:PETROS)がGTCC発電所を建設するプロジェクトに向けたもの。発電所の完工後は、同社傘下のPETROS Power Sdn. Bhd.が所有・運営する。

 マレーシア・サラワク州は、豊富な水力資源を背景に再生可能エネルギー由来の電力を用いた水素製造のポテンシャルが高い地域として注目される一方、旺盛な電力需要を満たすために同州沖合で産出される天然ガスを利用した火力発電設備の増設を計画。同プロジェクトもその一環と言え、完工後は同州北部のエネルギー安全保障にも貢献するもの。

 三菱重工は、プロジェクトの中核機器であるガスタービンおよび蒸気タービン各1台、ならびに関連補機類を供給。さらにガスタービンは、30%の水素を含む燃料で運転できるよう将来を見据えた計画としている。これにより、サラワク州で最も先進的で高効率な発電設備となり、マレーシアにおいてさらなる強靭で持続可能なエネルギーの供給が可能になる。このほか、技術員を派遣して据え付け・試運転を支援する。商業運転開始後は、PETROSと直接締結した長期保守契約(LTSA)を通じて、発電所の安定的な営業運転をサポートします。発電機は三菱ジェネレーター株式会社製を採用する。

 今回の受注に際し、三菱重工グループの現地法人三菱パワーアジア・パシフィック社長の隠土 朗大は、次のように述べている。「当社は1960年代以降、マレーシアの発電事業に寄与してきました。同国が2050年ネットゼロ・エミッション目標の実現に向けて取り組むなかで、水素に対応したガスタービンにより、将来の水素燃料への移行にも貢献できることを嬉しく思います。同国のエナジートランジションを推進し、持続可能な未来を切り開く役割を果たしていきます」。

 三菱重工グループは、高効率で信頼性の高いガスタービン発電設備の普及に一層力を注ぎ、世界各地の経済発展に不可欠な電力の安定供給に寄与するとともに、エネルギーの脱炭素化を促進することで地球環境の保全に貢献していく。

(注)ボルネオ島はカリマンタン島とも呼ばれ、北部をマレーシア(サラワク州・サバ州)とブルネイ、南部をインドネシア(東・西・南・中の各カリマンタン4州)が領有している。

 ニュースリリース

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