2023年度における世界情勢は、ロシア・ウクライナ情勢の長期化およびイスラエル・ガザの軍事衝突等の 地政学リスクの高まりにより農産物や資源エネルギーの供給不足、価格高騰等、先行きは不透明な状況で推移した。
日精樹脂工業グループが属する射出成形機業界では、米国の利上げおよびエネルギー価格の上昇、中国の景気減速等を要因として受注環境が低調だったことから厳しい経営環境が継続した。
このような状況のもと、日精樹脂工業グループは長期的な視点からの成長戦略や業績目標を見据え、2026年3月期を最終年度とする「フューチャーデザイン2026」の達成に向けて推進すると同時に2023年3月期を初年度とする第四次中期経営計画に基づいた事業を展開した。
■セグメントの状況
欧米地域 :米国および欧州でのインフレおよび金利の上昇を背景に設備投資需要が低調であったこと等から売上高(外部顧 客への売上高)196億3千2百万円(前年同期比20.0%減)、セグメント利益は2億8百万円(同78.2%減)となった。
アジア地域:中国を中心に自動車関連向けでは需要があったものの全体としては需要が低調であったこと等から売上高(外部 顧客への売上高)109億4千万円(前年同期比3.8%減)、セグメント利益は5億6千9百万円(同16.1%増)とな った。
■製品別売上高
■次期の見通し
2025年3月期は第四次中期経営計画の最終年度にあたり売上高640億円を計画として掲げていたが、世界全体で射出成形機の需要回復が遅れていること等から当初計画を見直し、455億円と修正した。
次期の経営目標は「グローバル環境経営を更に進化させ、「フューチャーデザイン2026」の達成に向けた総仕 上げを行う」としてグループ力と収益力の強化を図ってまいります。
営業面では、顧客の課題解決型企業としてプラスチック総合展やプライベート展を最大限活用し顧客に寄り 添ったソリューションビジネスモデルをご提案し、顧客満足度の向上を図っていく。具体的には、環境対応 技術やIoT技術を活用して、サブスクリプションを用いた商品・サービスの提供など他社との差別化をアピールし ていく。
グローバル市場においては、自動車業界におけるEV化対応および医療関連を中心にセールス活動を 展開していく。商品開発としては、顧客が儲かる新商品の提案としてロードマップに基づく計画的な商品開発・研究開発を進めていく。具体的には、ハイブリッド式射出成形機と低圧成形システムN-SAPLIの組み合わせによりダウンサイジングを実現するFWX機、低床竪型機であるTWX機のシリーズ化を進め、顧客の生産現場における省スペー ス化、作業環境の改善等を提案する。
生産体制の強化としては、グローバルサプライチェーンの強化、品質、コスト、納期対応の向上と共に為替リス クの低減を図るために計画的な調達体制および供給体制の再構築を進めていく。具体的には、海外生産拠点 において設計技術者、調達担当者を配置し、最適地生産体制および物流の強化、コスト削減を進め、グローバルな 品質保証体制の強化として世界同一品質の実現を図るとともに販売力の強化を推し進めていく。
このような環境の中、2025年3月期の連結業績見通しについては、売上高455億円(前期比3.3%減)、営業利益10億5千万円(39.1%減)、経常利益11億5千万円(14.2%減)、親会社株主に帰属 する当期純利益6億円(59.5%増)を予想している。