㈱アマダが5月14日に発表した2024年3月期(2023年度)連結業績によると、売上収益4,035億円(以下、前期比10.3% 増)となった。このうち国内は1,490億24百万円(5.1%増)であり、海外は2,544億76百万円(13.6 %増)だった。営業利益は、資材費の継続的な上昇と賃上げによる人件費増加の影響を受けたが、製造原価の低減や販売価格の改善に加え、為替が円安に推移したこともあり、565億07百万円(13.3%増)となり、親会社の所有者に帰属する当期利益は406億38百万円(19.0%増)だった。これにより、売上収益・営業利益・親会社の所有者に帰属する当期利益は、いずれも過去最高を更新した。
■事業別・地域別の概況
①金属加工機械事業
<板金部門の地域別>
日本:資材価格の高騰と賃上げに伴う経費の増加により、多くの中小企業において省人化を主とした更新投資に留まる傾向にある中、電子機器等精密板金関連は軟調に推移したものの、物流倉庫等の建設需要の高 まりから、サッシやエレベータといった建設設備関連による設備投資が好調に推移した。また、政府からの補助金も下支えとなったことから、売上収益は1,053億93百万円(3.9%増)となった。
北米:米国ではインフレの粘着性が強いことから利下げが先送りされているものの、公共投資を中心に経済環境は引き続き堅調であり、人手不足を背景とした自動化商品への需要が継続している。カナダもインフレ圧力の根強さから金融引き締めが継続しているが、エネルギー関連や農業関連の設備投資が好調に推移した。その結果、売上収益は894億09百万円(16.5%増)となった。
欧州:欧州においても、金融引き締めが継続されており、ユーロ圏の製造業は足踏みの状態が続いているが、設備投資需要に底入れの兆しがみられつつある。国別では各業種とも安定した設備投資が続いている英国やフランス、自動化の設備投資が進むイタリアのほか、大型案件の売上があった東欧等が堅調に推移し、売上収益は688億55百万円(20.5%増)となった。
アジア他:一部の地域では景気の持ち直しがみられた一方で、中国においては回復の兆しが見えず、また中国への輸出依存度の高いASEANを中心に苦しい局面が続くなど、国・地域によって跛行性がみられた。そのような中、政府補助金の下支えを受けて製造回帰が生じたオセアニア、エレベータや配電盤などで需要が進んだ台湾等において堅調に推移した。その結果、売上収益は368億05百万円(4.8 %増)となった。
<微細溶接部門>
国内では、自動車電装品や電子部品等が堅調に推移した。海外では、米国において航空宇宙関連、韓国で 車載電池関連の需要が進んだほか、自動車電装品等が伸びたインドも堅調に推移した。
②金属工作機械事業
売上収益は675億82百万円(7.2%増)、営業利益は73億53百万円(3.6%減)となった。
<切削・研削盤部門>
世界各地におけるインフレや金利上昇の影響により、住宅や建築関連の低迷が続いているが、各国で人手不足による省人化を目的とした自動化に対するニーズは続いており、国内では建設設備関連の需要が増加した。また、デジタルプロファイリング研削盤が売上に寄与した。
<プレス部門>
国内では、自動車関連についてEVシフト計画への見直し等の影響から、設備投資を先送りにされる顧客が多くみられた。また、海外においても金利の高止まりやインフレにより先行き不透明な経済状況にあるが、中国ではEV関連が堅調に推移した。
■今後の見通し
今後の世界経済は、金融引き締めの長期化、中東・ウクライナ情勢の緊迫化や為替動向など注視していく必要はあるものの、物価高の鈍化から景気の底堅さにつながり、特に製造回帰の進む米国が牽引する形で緩やかな世界経済の成長を見込む。
このような状況の中、次期のアマダグループの業績については、引き続き高い水準にある受注残高や新商品による需要の取込みに加え、製造業全般において省エネや省人化対策への設備投資意欲が継続する背景から、現時点では下記のとおり、売上収益、営業利益、親会社の所有者に帰属する当期利益について3期連続で過去最高の更新を見込 んでいる。
2025年3月期の連結業績見通しは、売上収益4,150億円(2.8%増)、営業利益590億円(4.4%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益410億円(0.9%増)。
為替レートは、1米ドル=145円、1ユーロ=155円を前提としている。