地域別の市況については、日本は底打ち時期を探る中、受注は動きの鈍い状況が続いた。年度後半には半導体製造装置関連等、一部で投資再開を検討する企業も見られ始めた。他方、自動車関連は設備投資の様子見が続いた。
欧州では、東欧、トルコ等の周辺国を中心に各種の産業機械、農業・建設機械、油圧機器、自動車、航空宇宙関連等、幅広い需要が見られた。しかしながらインフレや景気の先行きを警戒し、設備投資に対する慎重な動きが続く中、周辺国への製造拠点の再配置に伴う需要は次第に落ち着き、また主要国では景気は減速傾向となり、年度後半以降、市況の弱含みが強まる展開となった。
中国では、景気後退により製造業全体に設備投資を控える動きが広がり、工作機械需要の減速が強まる展開となった。活況を呈していたEV関連からの需要が一巡する中で大手EVメーカーの設備投資が一部継続しており、その需要を着実に取り込んだ。
このような市況の下、米国では積極的な販売活動で中堅・中小事業者の設備投資意欲を喚起し、欧州では2023年9月18日から23日にかけてドイツ ハノーバー市で開催された欧州工作機械見本市(EMO Hannover 2023)に出展し、自動化ソリューション、環境対応の技術・製品をアピールし、潜在需要の掘り起こしを図った。2023年11月15日から17日にかけて本社工場で開催したオークママシンフェア2023では、自動化、脱炭素、デジタル化を巡るものづくりの課題を解決する製品、ソリューションを提案し、顧客の設備計画の具体化を後押した。
また基本戦略とする「ものづくりDXソリューションの展開」を着実に進め、その一環として中国では4か所目となるテクニカルセンターを寧波に開設し、日本では埼玉県に国内6か所目のCS(Communication & Solution)センターとして東日本CSセンターを開設した。また、オークマのスマートファクトリー Dream Siteで培った自動化技術やDXのノウハウを活用して、㈱木村鋳造所との協創においては新世代鋳造製造技術の開発を進め、ロボットによる省人化、工程間のデジタルデータ連携等により多品種少量の小物鋳物の生産革新、ものづくりDXの取り組みを進めた。
また中期経営計画の中で進める革新的な自動化技術の開発や顧客の生産改革に向けたサポートビジネスへの展開の一環として江南工場再開発に着手し、自動化ソリューションの提案・生産出荷等を行うエンジニアリングセンター及び次世代の自動化技術開発や顧客の生産改革に向けたサポートビジネス、ソリューション提案を行うイノベーションセンターの建設を決定した。
■今後の見通し
オークマグループを取り巻く今後の経営環境については、地政学リスク、為替変動等、不透明な情勢が続くと予想される。また、鋳物、素材等の価格は高止まりが見込まれ、その他の諸経費においてもインフレ等の影響を受け、コストの上昇傾向が予想される。
工作機械の需要については、年度前半は一進一退の状況が続き、後半以降は、半導体製造装置、自動車、インフラ関連等、各種産業の設備投資が本格化し、工作機械需要は顕著に回復に向かうことが期待される。
オークマグループは、グローバルでの顧客獲得、生産・業務効率向上による収益確保と体質強化を図ると共に、スマートマシン、スマートファクトリーソリューションの強化を図り、自動化ソリューション、脱炭素化ソリューション等、ものづくりDXソリューションの提供を基本戦略として展開して経営革新を図り、成長産業からの需要を確実に取り込み、グローバル市場で成長を図っていく。
以上により、次期の連結決算の業績予想については、下記のとおり。
2025年3月期連結業績予想は、売上高2,150億円(前期比5.7%減)、営業利益215億円(15.2%減)、経常利益220億円(同13.9%減)、親会社株主に帰属する当期純利益155億円(同20.0%減)。
業績予想の前提となる為替レートは、1ドル=145円、1ユーロ=154円を前提としている。