なお、のれん等償却の影響を除くと、営業利益は528億7千6百万円(同111.5%増加)となり、営業利益率は 7.5%(同3.5ポイント増)となっている。
この結果、売上高並びに営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益、のれん等償却前営業利益はいずれも過去最高となり、2022年3月期から2024年3月期までの中期経営計画「Logisnext SolutionS 2023」における目 標値(売上高5,000億円、のれん等償却前営業利益300億円、同利益率6%、自己資本比率20%以上)もすべて超過達 成となった。
2023年度における世界経済は、ディスインフレが進行する中で緩やかな回復が続いている。しかしながら、不動産不況の継続もあって中国の経済成長は停滞しており、ロシアによるウクライナ侵攻の長期化やイスラエルとハマスの軍事衝突など地政学上のリスクもあり、地域ごとにその状況は異なっている。一方、我が国経済は、経済社会活動の正常化が進んだ一年となった。長引く円安に起因する物価の上昇はあるものの、設備投資・個人消費ともに底堅く推移している。
このような中、フォークリフトを始めとする物流機器市場は、国内においては、コロナ禍前と同様の水準で引き続き堅調に推移している。海外においては、米州ではコロナ禍後の一時的な特需が平準化して弱含みに推移してきたのち回復傾向を見せ始めており、インフレ圧力が緩和する中、景気回復には至ってはいない欧州においても、物流機器需要は年度後半にかけては回復しつつある。一方、アジアではコロナ禍後の特需が収まってきた中でも堅調に推移しており、不動産不況の継続により景気が停滞する中国においても、物流機器需要においては回復傾向が見られる。また、電気車化トレンドの中で、中国製リチウムバッテリー車の参入により、地域による濃淡はあるものの各地で競争激化の傾向が見られるようになった。
■セグメントごとの経営成績
(国内事業) 国内事業は、受注が堅調に推移する中、部品欠品が解消傾向に向かい、また、価格適正化の効果も寄与し始め、売 上高は1,904億4千1百万円(前年同期比8.0%増加)となった。セグメント利益は、依然としてコスト高の状況 は解消されないながらも、売上高の増加に加えて輸出事業における海上輸送運賃の高騰沈静化並びに為替の円安影響 も寄与し、50億6千2百万円(同891.5%増加)となった。なお、のれん等償却の影響を除くと、セグメント利益は99億3百万円(同85.4%増加)となっている。
(海外事業) 海外事業は、米州での販売台数増加に伴って価格適正化の効果が拡大し、また、為替の円安影響に伴う換算額の増加もあり、売上高は5,113億2千9百万円(前年同期比16.5%増加)となった。セグメント利益は、売上高の増 加が大きく寄与し、375億4千1百万円(同164.4%増加)となった。なお、のれん等償却の影響を除くと、セグメント利益は429億7千2百万円(同118.6%増加)となっている。
特に海外事業の前年同期は、その前半においては価格適正化がコロナ禍以降のインフレ下におけるコスト高をカバ ーできていない状況だったが、それ以降徐々に部品欠品が解消されていくことで生産を拡大、出荷を促進し、海外事 業の売上高並びにセグメント利益を大きく増加させている。
■今後の見通し
世界経済は、ディスインフレが進行する中で緩やかな回復が続いているが、停滞する中国経済や欧州・中東における地政学的リスクなどもあり不確実性が増す中、先行きは不透明で予断を許さない状況にある。しかしながら、フォークリフトを始めとする物流機器市場は、国内においてはコロナ禍前と同様の水準で引き続き堅調に推移しており、海外においても堅調か地域によっては回復が見られつつある状況。
このような状況のもと、三菱ロジスネクストの次期3ヶ年の中期経営計画「Logisnext Transform 2026(以下、LT26)」の初年度 にあたる2024年度(2025年3月期)の連結業績については、売上高6,800億円(前期比3.1%減)、営業利益380億円(同10.8%減)、経常利益330億円(同12.0%減)、親会社株主に帰属する当期純利益290億円(同5.4%増)を見込んでいる。
なお、その場合ののれん等償却前営業利益は480億円、同利益率は7.1%となる。また、翌連結会計年度末における自己資本比率は25%、資本コストを意識した経営の実現に向けLT26で新たに目標として設定した自己資本利益率 は20%以上を見込んでいる。