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東洋機械金属、23年度売上は18.3%減の288億円、24年度予想は7.5%増の310億円

 東洋機械金属が4月24日に発表した2024年3月期(2023年度)連結業績によると、受注高は26,537百万円(前期比15.0%減)、売上高は 28,842百万円(同18.3%減)となった。このうち、国内売上高は8,197百万円(同13.5%減)、海外売上高は 20,645百万円(同20.1%減)となり、海外比率は71.6%となった。損益面については、生産量減少で操業度が低下したことによる固定費回収不足と部材価格高騰等の影響による製品原価増大により、営業損失が119百万円、経常損失が64百万円、親会社株主に帰属する当期純損失は、海外子会社で発生した元従業員による私的流用事案に関する貸倒引当金および特別調査委員会による調査費用を計上したこと、繰延税金資産の取崩しで法人税等調 整額648百万円が発生したこと等により、1,293百万円となった。

 東洋機械金属2024年3月期通期データ

2023年度における世界経済は、新型コロナウイルス感染症による行動規制や入国制限が撤廃されたことにより、経済活動の正常化が進んだ一方で、ロシア・ウクライナ情勢の長期化による資源エネルギーの不安定な供給や原材料価格の高騰が続き、先行きは不透明な状況で推移した。国内経済においても、新型コロナウイルス感染症による行動制限がなくなり、個人消費やインバウンド需要が持ち直したことによって景気は回復傾向となった ものの、急激な円安の影響による原材料価格の高騰や物価の上昇などで厳しい状況で推移した。

 東洋機械金属グループに関連する業界においては、世界的な需要低迷の長期化と急激な円安進行による鉄鋼を中心と した調達部材価格の上昇および燃料エネルギー価格の高騰等の影響により非常に厳しい状況で推移した。

 このような市場環境のもと、東洋機械金属グループは2024年3月期を最終年度とする第3期中期経営計画に基づいた事業活動を推進し、中長期的な視点から持続的な成長と安定した収益確保に取り組んできた。11月に開催され た展示会「IPF JAPAN 2023」では、約10年ぶりのフルモデルチェンジとなる多用途多目的成形を実現した新機種を 発表した。また、1月にはメンテナンス部品の供給拠点を新築し、迅速に交換部品、消耗品などを顧客のもとへ届けられるよう、サービス体制を強化した。

 以上をはじめとする収益の確保に向けた事業活動を行ってきたものの、世界的な需要の低迷、特に中国での景気減速の影響を受けた。

■製品別の売上の状況
[射出成形機]
 射出成形機については、国内は、自動車関連・工業部品関連の売上が大きく減少した。海外においては、中国でIT機器関連、医療機器や米州での生活用品関連の売上が減少した一方で、東アジア・東南アジアに おいて家電・工業部品関連の売上が増加した。
 この結果、受注高は19,451百万円(前期比20.4%減)、売上高は21,580百万円(同21.3%減)となった。こ のうち、海外売上高は15,481百万円(同22.6%減)となり、海外比率は71.7%となった。

[ダイカストマシン]
 ダイカストマシンについては、国内は工業部品・自動車関連の売上が増加しました。海外においては、中国での工業部品関連売上が増加したが、自動車関連が大幅に減少した。一方、インドにおいて自動車関連が増加した。
 この結果、受注高は7,087百万円(前期比4.6%増)、売上高は7,261百万円(同7.8%減)となつた。このう ち、海外売上高は5,163百万円(同11.3%減)となり、海外比率は71.1%となった。

■今後の見通し
 2025年3月期連結業績の見通しは、売上高は31,000百万円(前年同期比7.5%増)、営業利益300百万円(ー)、経常利益400百万円(ー)、親会社株主に帰属する当期純利益は100百万円(同ー)を見込んでいる。

 東洋機械金属グループを取り巻く市場環境は、ロシア・ウクライナ情勢の長期化や、中東での軍事衝突などグローバルでの地政学的リスクや世界的な金融の引き締めによるインフレの進行及びそれに伴う景気減速の懸念により、先行き は依然として不透明な状況が続くものと予想している。

 一方、東洋機械金属グループの事業に関連する市場においては、電気自動車関連や電子部品関連が上向き、新たな動きが 見られるものの、米国、中国経済の停滞に伴う設備投資需要の低迷や行き過ぎた円安の進行、資源エネルギー・原 材料価格の高騰により、受注環境は当面厳しい状況が続くものと思われる。

 このような市場環境の中、東洋機械金属グループは、脱炭素社会実現への流れや人口減少による労働不足を補うDX化、 情報通信技術および自動化の発展によって変化する顧客のニーズや価値観、そして市場のトレンドに応える技術開発、製品づくりが喫緊の課題であると認識している。

 東洋機械金属グループは、技術面では、地球環境に配慮した、最新のIoTおよび制御技術で、多機能性と操作性を追求した高品質な製品開発を行っていく。生産面では将来を見据えた設備投資と生産効率の改善による短納期化を図り、省人化、自動化による生産力の向上に努める。営業面では、成長の期待できる新分野への新規開拓と昨年 の展示会で発表した新機種の優位性のアピール、新たに建設した部品供給拠点の活用により、サービス体制の拡充を図り、一層の受注拡大をめざしていく。

 なお、東洋機械金属グループは、サステナビリティ経営の重要性が増す中において、急速に変化する事業環境を、顧客の価値向上への貢献、そしてさらなる成長の機会と捉え、2027年3月期を最終年度とする新たな中期経営計画を策定した。中期経営計画で掲げた新たなパーパスやビジョン、基本方針、経営戦略のもと、持続的な成長と 企業価値向上に向けた経営基盤の強化に取り組んでいく。

    東洋機械金属の2024年3月期 決算短信

 決算説明資料

 

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