日立造船は3月15日、100%子会社でごみ焼却発電プラントやバイオガスプラントなどの設計、建設、運営、保守を手がける Hitachi Zosen Inova AG(スイス、以下、HZI)が、イタリアを中心にバイオガス事業を手がける Schmack Biogas Srl(イタリア トレンティーノ=アルト・アディジェ州Bolzano:ボ ル ツ ァ ー ノ、以下、Schmack Biogas)の株式過半数を PLC SpA(イタリア、以下、PLC)などから取得し、子会社したと発表した。
Schmack Biogas は、2021 年に HZI が買収した Schmack Biogas Service GmbH(現Hitachi Zosen Inova Schmack GmbH、ドイツ、Schwandorf:シ ュ バ ン ド ル フ)の支店として 2006 年に設立され、2018 年に独立した後、2020 年にPLC が株式過半数を取得していた。
Schmack Biogasは設立後一貫してバイオガス事業を手がけており、イタリアを中心に、ギリシャ、エストニア、ベルギー等でバイオガスプラントの EPC(Engineering(設計)、Procurement(調達)、
Construction(建設))、運営・保守、事業開発に携わってきた。
イタリアは欧州の中でもバイオガス・バイオメタン※1利用が盛んであり、欧州委員会が公表し
た「REPowerEU※2」の計画により、さらなる市場拡大が見込まれている。
日立造船グループは、欧州におけるバイオガスの自社運営事業拡大のために 2023 年度から2025年度までの3年間で約 400 億円の投資を計画しており、既に HZI はイタリア北西部の都市Pianfei(ピアンフェーイ)において、バイオガスプラントの建設および自社所有・運営を決定し、2027年の稼働開始を目指している。
HZI は、乾式メタン発酵技術「Kompogas®(コンポガス)」で 2014 年からバイオガス事業に
進出し、2021 年には湿式メタン発酵技術を有する Hitachi Zosen Inova Schmack GmbH を買収するなど、バイオガス事業の EPC や運営、保守の強化に取り組んできたが、Schmack Biogas は、イタリアおよびその他海外で約 70 件のバイオガスおよびバイオメタンプラントを納めており、HZI グループのバイオガス事業のさらなる拡大に大きく貢献するもの。
今回の Schmack Biogas の株式取得は、日立造船グループの戦略に沿った取り組みであり、日立造船グループは日本および欧州で培ってきたバイオガス・バイオメタン技術を活用し、ますます高まる需要に積極的に貢献していく。
※1 バイオメタン:有機性廃棄物を発酵させることによって発生するバイオガスを精製することによって、天然ガスと同等となるメタン濃度 90%以上に純度を高めたもの。
※2 REPowerEU: 2022年5月に欧州委員会が公表した再生可能エネルギー利用計画。天然ガスの代替品として、バイオメタンの大幅な増産案が盛り込まれている。
<Schmack Biogas の概要>
名称:Schmack Biogas Srl.
所在地:イタリア トレンティーノ=アルト・アディジェ州 Bolzano
事業内容:バイオガス・バイオメタンプラントの設計・建設・運営・保守
設立年:2006 年 1 月
資本金:約 3 億 4,000 万円
売上規模:約 20 億円
従業員数:約 50 名