コベルコ建機と安藤ハザマは2月29日、自動運転ショベルの本格展開を視野に、「重機搬入からシステム稼働までの時間短縮」と「現場人員での運用」という実際の作業現場で求められる実用性について、シールド工事現場で検証したと発表した。
2019 年秋にはティーチングとプレイバック※1 による油圧ショベルの単純な自動運転の実証実験を、2020年秋には土砂形状、ダンプトラックの荷台位置を人口知能(AI)で認知し、掘削、積込み位置を自動調整により 現場の状況変化に対応できることの実証実験を行った。
そこで、これらの課題を解決するために、下記 2 点を改良したうえで、2023 年 12 月、安藤ハザマが施工中 のシールド工事現場において、自動運転ショベルでダンプトラックに土砂積込みを行い、実用性を検証した。
◎自動運転ショベルの初回システム設定が短時間で完了し、稼働までの所要時間を短縮 短時間で自動運転ショベルの初回システム設定を完了できるように手順書を作成した。加えて、タブレッ ト内のアプリについて自動運転システム設定画面のユーザーインターフェース(UI)を再設計したことで、ショベル搬入から自動運転システムの初回設定までを半日程度で完了できた。
◎現場人員の誰もが自動運転ショベルを扱え、2 週間スムーズに稼働アプリは自動運転システム操作画面についても直感的に扱えるように UI を設計し直した。また、分かりやすい取り扱いマニュアルを作成した。これにより 2時間弱の教育で、現場人員の誰もが自動運転システムを操作できるようになった。また、自動運転システムの日常点検リストを作成することで、日々の点検業務を現場人員でスムーズに行えた。誤操作などによるトラブルは発生せず、2 週間、自動運転ショベルを安全に稼働できた。
機能面と安全面に加え、今回の検証により、実用面でも現場における自動運転ショベルの本格展開について一定の目途がついたと考えている。コベルコ建機と安藤ハザマは、これらの共同研究の成果をもとに、今後、自動運転の適用工種の拡大と現場展開に向けた取り組みを加速させていく。
※1 自動運転ショベルにおいて、ティーチングとはプログラム作成のために重機の動作を「記録」すること、プレイバックとはその記録した動作を 「再生」すること。