㈱神戸製鋼所は2月26日、中国での自動車用アルミパネルの事業拡大・自動車脱炭素化への対応を目的に、中国天津市でアルミパネルの製造・販売を行う神鋼汽車鋁材(天津)有限公司(神戸製鋼 100%出資)は、中国鉄鋼業最大手の中国宝武鋼鉄集団有限公司が過半出資する宝武鋁業科技有限公司(以下、宝武アルミ)とアルミパネルの製造・販売にかかる合弁会社設立に向けた予備的検討を終え、詳細な事業化調査を進めることで合意したと発表した。
中国の自動車生産は自動車のEV化を背景に今後2030年に向けて年率3%の成長率で拡大していくと見込まれている。神鋼汽車鋁材は、神戸製鋼所が長年培ってきたアルミパネル製造技術を基に、中国での環境負荷軽減・自動車軽量化ニーズに対応すべく2014年に設立され、2016年4月より量産を開始している。
近年、中国で生産を行う自動車メーカーでは、アルミスクラップのリサイクルによるCO2低減ニーズが高まっているが、溶解工程を保有しない神鋼汽車鋁材は中国でのスクラップリサイクル体制構築が課題だった。一方、宝武アルミは2011年に設立、2020年に製造・販売を開始したアルミ板圧延一貫メーカー(溶解~圧延~熱処理)。操業開始間もない同社は、今後の成長のためには自動車向けなど、付加価値の高い分野へ進出可能な技術力の更なる向上が課題であった。
そのような課題のあった両社の思惑が一致し、アルミパネル合弁会社設立に向けた予備的検討を進めてきたが、今回、詳細な事業化調査を進めることに合意した。事業化調査の結果を踏まえ、最終的な合弁会社設立の時期については現時点で2024年を目指している。
神戸製鋼所は、2021年5月に発表したKOBELCOグループ中期経営計画(2021~2023年度)の中で、2050年ビジョンとして、生産プロセスにおいては「カーボンニュートラルへ挑戦し、達成を目指す」こと、また技術・製品・サービスによるCO2排出削減貢献は「1億トン以上」を掲げている。KOBELCOならではの多様な事業・技術・人材のかけ算により、CO2削減をはじめとした社会課題の解決に挑み、ステークホルダーにとって「かけがえのない存在」であり続けることを目指す。
■会社概要:合弁対象となる2社について
社名:神鋼汽車鋁材(天津)有限公司
英文名:Kobelco Automotive Aluminum Rolled Products (China) Co., Ltd.
設立:2014年1月(2016年4月より量産稼働開始)
事業内容:自動車用アルミパネル材の製造・販売
所在地:中国天津市 西青(シーチン)経済技術開発区
資本金:4.54億人民元(約75億円)
出資:神戸製鋼100%(神鋼投資有限公司経由)
総投資額:11.5億人民元
生産設備:連続焼鈍設備(CAL)および表面処理設備
生産能力:年間約10万トン
従業員数:245名(2024年1月末時点)
社名:宝武鋁業科技有限公司
英文名 Baowu Aluminum Technology Co., Ltd.
設立:2011年
事業内容:高性能・高合金化のアルミ板・アルミストリップ・アルミ箔製品及びその他のアルミとアルミ合金の仕上げ加工製品の生産・販売・研究開発、貨物(設備、原材料、完成品)の技術開発・技術コンサルティング・技術譲渡・技術サービス・輸出入業務
所在地:中国河南省三門峡市
資本金:35億人民元
出資:中国宝武鋼鉄集団有限公司51%、河南能源集団有限公司37.57%、三門峡投資集団有限公司11.43%
生産設備:アルミ板材製造一貫設備(溶解・鋳造・圧延・熱処理設備など)
生産能力:年間約30万トン(うち、自動車用アルミパネル約8万トン)
従業員数:約940名(2024年2月時点)