㈱ニッスイは2月14日、北米で水産調理冷凍食品を製造販売するゴートンズ社(米国・マサチューセッツ州グロースター)およびフランスをベースにチルドの水産フライを製造販売するシテ・マリン社(フランス・ケルビニヤック)において、さらなる海外食品事業の拡大に向け生産能力の増強を決定したと発表した。投資額は総額約170億円を想定している。
ニッスイは2000年代に入り水産物のグローバル・サプライチェーンの構築に取り組み、この機能を担う海外のグループ企業やパートナー企業を「グローバルリンクス」とし、ゴートンズ社を2001年に、シテ・マリン社を2007年に加え、北米のスケソウダラなどを使用した白身魚製品を中心に事業を拡張してきた。
一昨年に発表した2030年の長期ビジョン「Good Foods 2030」においても、グローバル展開の加速を課題として掲げており、海外の食品事業は水産(白身魚およびエビ)フライで圧倒的な世界ナンバーワンとなることを目指している。その実現には、両エリアとも生産設備能力が不足していたことから、増強を検討してきた。
ゴートンズ社は、米国の家庭用水産調理冷凍食品のカテゴリーにおいてトップのシェアをもち、主力分野のスケソウダラを使用した白身魚フライ商品のほか、エビを使用した商品の拡大にも取り組んでいる。
ただ、本社工場を中心とする現在の生産能力は限界となっており、今後の成長に生産能力の増強は重要な経営課題であることから、企業買収も含めさまざまな検討を進めてきたが、同社にとり適地が見つかったことから、新たな生産拠点をインディアナ州に設置することを決定した。2025年後半の稼働開始を目指し、生産能力の増強に加え、原料調達・製品販売の物流効率化、付加価値商品の生産増や生産品目の最適化を図る。
シテ・マリン社は、水産素材を使用したチルド・冷凍食品を製造しており、フランス国内のチルド白身魚フライで高いシェアを持っている。また、農産品を使用した代替たんぱく製品の生産・販売も拡大している。
同社はニッスイグループに参画して以来目覚ましく成長しており、それに伴って生産能力を増強してきた。2011年に第3工場(ケルビニヤック)を新設、2015年に生産子会社のキャップ・オーシャン社(ヴァーソン)を設立、2017年には白身魚製品製造のアリオティス社(ロリアン)およびエビ製品製造のミティ社(ナント)を買収・資本参加、さらに第5工場(ケルビニヤック)を新設した。
2022年7月にはケラナ・プロダクションズ社(プルメリン)を買収して冷凍およびチルド白身魚フライ・代替たんばく製品を生産しているが、今後の成長に向け2025年をめどに同社の生産能力を増強するための工場の拡張計画を決定した。同時に配送の効率化、既存工場との生産品目最適化、包装設備の自動化なども行う
両社の生産能力増強により海外食品事業をさらに拡大し、世界の人々に新しい”食”を届けていく。
<ゴートンズ社Gorton’s ,Inc. 概要>
本社所在地:アメリカ合衆国、マサチューセッツ州グロースター
代表者:カート・ホーガン
事業内容:食品の製造・販売
設立:1849年(2001年にニッスイ関係会社となる)
株主:ニッスイUSA社100%
<シテ・マリン社Cite Marine S.A.S. 概要>
本社所在地:フランス、ケルビニャック
代表者:エリク・ル・エナフ
事業内容:食品の製造・販売
設 立:1990年2月(2007年10月にニッスイ関係会社となる)
株 主:ニッスイヨーロッパ社100%
関係会社:キャップ・オーシャン社、アリオティス社、ミティ社、ケラナ・プロダクションズ社