営業利益は金利上昇によるインセンティブコストの増加や原材料価格の上昇、インフレによる諸経費の増加などの減益要因はあったが、値上げ効果や為替の改善効果などにより、前期比1,144億円(53.4%)増の3,288億円となった。税引前利益は営業利益の増加により前期比1,111億円(48.1%)増加して3,423億円。法人所得税は844億円の 負担、持分法による投資損益は21億円の利益となり、当期利益は前期比856億円(49.0%)増の2,600億円。親 会社の所有者に帰属する当期利益は前期を820億円(52.4%)上回る2,385億円となった。
■セグメント別の概況
<機械部門>
国内売上高は前期比4.4%増の3,158億円。主に建設機械及びエンジンの増加により増収となった。
海外売上高は前期比14.7%増の2兆3,210億円となった。北米では、トラクタはレジデンシャル市場の低迷により苦戦したが、建設機械の販売が住宅建設や政府のインフラ開発需要により増加したことで増収となった。
欧州で は、建設機械が公共工事需要に支えられ堅調に推移したほか、トラクタもクボタの在庫充足が進み、販売が増加したことで 増収となった。アジアは、タイでは干ばつをはじめとした天候不順による農業機械の買い控えが続いた。インド は畑作市場が堅調に推移したことに加え、前第2四半期よりEKL社を連結子会社化したことにより増収となった。
<水・環境部門>
同部門はパイプシステム関連製品(ダクタイル鉄管、合成管等)、素形材・都市インフラ関連製品(反応管、スパイラル 鋼管、空調機器等)、環境関連製品(各種環境プラント、ポンプ等)により構成されている。
売上高は前期比11.3%増加して3,645億円となり、売上高全体の12.1%を占めた。国内売上高は前期比11.3%増の3,079億円となった。環境事業の売上が伸びたほか、パイプシステム事業も堅調に 推移し、増収となった。海外売上高は前期比11.0%増の566億円となった。主に産業機材事業で反応管が海外プラント新設需要に支えられ 堅調に推移したほか、環境事業で膜システムの売上も伸び、増収となった。
セグメント利益は原材料価格の上昇を値上げ効果で補い、前期比77.1%増加して305億円となった。
<その他部門>
同部門は各種サービス事業などにより構成されている。売上高は前期比15.8%減の195億円となり、売上高全体の0.6%を占めた。セグメント利益は前期比51.1%減少して15億円となった。
■次期の見通し
2024年12月期の売上高は2023年比293億円増の3兆500億円(前期比1.0%増)を見込んでいる。国内市場では、機械部門は農業生産のコスト高によ り売上は微減となる見込みだが、水・環境部門は主にパイプシステム事業の増収により増加する見通し。海外市場 では、機械部門が建設機械で底堅い需要を見込んでいるほか、農業機械も地域差はあるがインド市場を中心に堅調に推移する見通し。
営業利益は値上げ効果を中心とした増益要因があるが、インフレによる固定費増加や原材料費の悪化といった減益要因により微減し、3,200億円(同2.7%減)となる見込み。税引前利益は3,330億円(同2.7%減)、親会社の所有者に帰属する当期利益は2,260 億円(5.2%減)を予想している。
業績見通しにおける想定為替レートは、1米ドル=140円、1ユーロ=153円としている。