第3四半期連結累計期間におけるオークマグループの経営環境は、国内、海外共、工作機械需要は弱含みの動きが続く中、日本及び欧米市場では底打ちを探る兆しが見られ始めた。中国市場では一部の大手企業を除いて需要の 減速が一段と強まった。その他のアジア諸国においても設備投資に対する慎重な動きが続いた。
他方、労働人口減少、脱炭素化、サプライチェーン再編等、社会課題への対応に伴う需要は底堅く推移した。こうした中、省熟練・省人化の高精度・高効率生産を実現する知能化技術と自律的にエネルギー消費量を削減 し脱炭素化に貢献する機能を備えたオークマグループの工作機械を「Green-Smart Machine」として一斉展開し、受注獲得 に注力した。
■ 地域別の市況
米国の市況は弱含みで推移したが、製造の国内回帰の動きがあり、また大手企業や航空宇宙等、ハイテク産業での需要は底堅さを維持し、EV関連の設備投資も広がり始めた。中堅、中小事業者においては金融引き締めの影響等により設備投資は抑制傾向で推移した。
欧州では需要を大きく牽引する産業は見られないものの、東欧、トルコ等の周辺国を中心に各種の産業機械、農業・建設機械、油圧機器、自動車、航空宇宙関連等において需要は底堅く推移した。しかしながらインフレや 景気の先行きを警戒し、設備投資に対する慎重な動きは続いた。
中国は総じて製造業全体が低迷しており、工作機械需要の減速感が強まった。活況を呈していたEV関連から の需要が一巡する中で、大手EVメーカーの設備投資が一部継続しており、その需要を着実に取り込んだ。
中国を除くアジアにおいては、タイ、マレーシア、インドネシアの市況は緩やかな回復傾向となり、インドにお いては設備投資への旺盛な意欲が継続した。他方、韓国、台湾等では弱い動きが続いた。
また、基本戦略とする「ものづくりDXソリューションの展開」を着実に進め、その一環として、中国では4か所 目となるテクニカルセンターを寧波に開設し、日本では埼玉県に国内6か所目のCS(Communication & Solution) センターとして東日本CSセンターを開設した。また、オークマのスマートファクトリー Dream Siteで培った自動化技術やDXのノウハウを活用して、㈱木村鋳造所との協創による新世代鋳造製造技術の開発を進め、ロボッ トによる省人化、工程間のデジタルデータ連携等により多品種少量の小物鋳物の生産革新、ものづくりDXの取組みを進めた。
部品・ユニット類や鋳物・鋼材の調達難は解消に向かう中、協力会社を中心にサプライチェーンの強化を加速させ、高水準の受注残高の下、生産の安定化を図った。部材のコストは高止まり乃至緩やかな上昇が続いている ことから、生産の効率化等、自助努力に注力しながら、販売価格への転嫁を進めた。
■連結業績予想などの将来予測情報に関する説明
通期連結業績予想については、需要の調整局面が続くものの、労働人口減少、脱炭素化、サプライチェーン再編等、社会課題への対応に伴う需要は引き続き底堅く推移することが見込まれる中、欧米市場での現地在庫機を 活用した短納期受注や受注残の着実な消化等により、2023年5月11日に公表した業績予想(下記)に変更はない。
2024年3月期通期連結業績予想は、売上高2,300億円(前期比1.0%増)、営業利益255億円(2.8%増)、経常利益265億円(同0.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益195億円(同1.6%増)。