コマツは、2025年3月期をゴールとする3カ年の中期経営計画「DANTOTSU Value – Together, to “The Next” for sustainable growth」において、①イノベーションによる成長の加速、②稼ぐ力の最大化、③レジリエントな企業体質の構築を成長戦略の3本柱として掲げ、収益向上とESG課題解決の好循環による持続的成長を目指すサステナビリティ経営を引き続き重視し、需要変動に左 右されにくい事業構造の構築に向け、活動を進めている。この中期経営計画においてESGの経営目標として掲げている「ダウ・ジョーンズ・サステナビリテ ィ・インディシーズ ワールドインデックス」に選定された。
■部門別の概況
[建設機械・車両]
建設・鉱山機械のカーボンニュートラル化については、将来の電動化建機の市場形成時 におけるコンポーネント戦略の一環として、商用車及び産業用車両向けを含む多様なバッテリーパ ックの開発・製造を手掛ける米国のバッテリーメーカーを買収した。
電動化建機の市場導入元 年の第4弾となる、リチウムイオンバッテリーを搭載した13トンクラスの電動ショベル 「PC138E-11」の国内市場導入にも取り組んだ。水素活用に関し、米国の大手自動車メーカーと 超大型ダンプトラック「930E」向け水素燃料電池モジュールの共同開発を開始した。
■地域別の概況
<日本> 日本では、新車需要が前年同期並みに推移しており、販売価格の改善などの影響もあり、売上高は前年同期を上回った。
<米州> 北米では、一般建機の需要は、住宅建設向けの減少が底を打ち、レンタル、インフラ、エネルギ ー関連向けが引き続き堅調に推移した。加えて、鉱山機械の需要が好調に推移したことや円安、販売価格の改善の影響もあり、売上高は前年同期を上回った。
中南米では、経済の先行き不透明感などにより一般建機の需要が減少したものの、鉱山機械の需要は好調に推移した。鉱山機械の部品・サービス売上げの増加や円安、販売価格の改善の影響もあり、売上高は前年同期を上回った。
<欧州・CIS> 欧州では、金利上昇やエネルギー価格の高止まりの影響で、主要市場である英国とドイツのほ か、イタリアなどを中心に一般建機の需要が減少したものの、円安や販売価格の改善の影響によ り、売上高は前年同期を上回った。
CISでは、ウクライナ情勢に起因したサプライチェーン及び金融・経済の制約の影響から、売上高 は前年同期を大幅に下回った。
<中国> 中国では、不動産市況の低迷などに起因した経済活動の停滞により、需要が低迷したことから、 売上高は前年同期を下回った。
<アジア・オセアニア> アジアでは、インドネシアにおける鉱山機械需要は引き続き堅調に推移した。一方で、イン ドネシア、タイ、ベトナムなどで、公共事業の予算執行遅れや経済の先行き不透明感などにより、 一般建機の需要が減少したことから、売上高は前年同期を下回った。 オセアニアでは、鉱山機械及び一般建機の需要が前年同期並みに推移したことに加え、部品・サ ービス売上げが増加したこともあり、売上高は前年同期を上回った。
<中近東・アフリカ> 中近東では、サウジアラビアやUAEなどの産油国でのプロジェクトや、トルコの復興需要などによ り、一般建機の需要が堅調に推移したことから、売上高は前年同期を大幅に上回った。
アフリカでは、鉱山機械及び一般建機の需要が堅調に推移したことに加え、部品・サービス売上 げが増加したこともあり、売上高は前年同期を上回った。
[リテールファイナンス]
リテールファイナンス部門では、金利上昇や円安の影響により、売上高は747億円(前年同期比 17.5%増加)となった。セグメント利益は、前年同期に北米で計上した貸倒引当金の戻入益が なくなったことなどもあり、187億円(前年同期比12.0%減少)となった。
[産業機械他]
産業機械他部門では、自動車産業向けの鍛圧機械、板金機械、工作機械において、大型プレスの 販売増加などにより、売上高は1,315億円(前年同期比3.7%増加)となった。セグメント利益 は、半導体産業向けエキシマレーザー関連事業において、世界的な半導体需要の減少による影響を 受けたことなどにより、57億円(前年同期比63.7%減少)となった。ギガフォトン㈱は、従来から培ってきた半導体リソグラフィ用光源の技術を応用して開発し た微細アブレーション加工用光源「G300K」を、半導体パッケージ基板メーカーに製造装置として初 めて納入した。
■2024年3月期(2023年度)の見通し
2023年10月27日に公表した2024年3月期の連結業績予想(下記)に変更はない。
売上高3兆6,600億円(前期比3.3%増)、営業利益5,480億円(同11.7%増)、税引前当期純利益5,090億円(同6.8%増)、株主に帰属する当期純利益3,400億円(同4.2%増)。