まず、先日の「能登半島地震」並びに「不幸な航空機事故」で亡くなられた方々に心からお悔やみ申し上げますとともに被災された多くの方々にお見舞いを申し上げます。被災地、事故の一日も早い復旧復興を願い、皆様のご理解とご支援をお願いいたします。
さて、年頭にあたり、昨年からのエンジン業界を取り巻く世界経済、市場動向ですが、新型コロナウィルス感染症が収束し、5 類感染症へ移行しましたものの、世界的な金融引締めに伴う影響や中国経済の先行き懸念、ウクライナ情勢の長期化に加え中東地域をめぐる情勢等、先行き不透明感が強く、欧米の金利上昇等からの大幅な円安による景気減速懸念等もみられ、 まだまだ予断を許さない状況が見込まれます。
また、当協会は昨令和 5 年 5 月に創立 75 周年を迎えました。陸内協として本年度最重要活動として、一つ目にカーボンニュートラルへ向けたシナリオのアップデート、二つ目に創立 75 周年記念誌『統計資料に見る協会 75 年の歩みと将来展望』の発行、三つ目に協会建屋老朽化に伴う事務所移転を 3 大方針として掲げ、進めてまいりました。
陸内協におけるカーボンニュートラルへ向けた活動として、一昨年度に “陸内協カーボンニュートラルシナリオ”を作成しホームページ上で公開、昨年3月にアップデートを行いました。このシナリオでは、用途によっては電動化が進むものの、無電化地域など内燃機関が必須となると考えております。昨年は、このカーボンニュートラル燃料について、協会行事である第 23 回技術フォーラム 2023 にて、合成燃料である OME や水素と CO2 から合成する e-fuel について講演を実施し、議論を深めてまいりました。
カーボンニュートラルとされる e-fuel や水素燃料は、供給量やコストの点でまだまだ多くの課題が残っています。今後も各エネルギー業界と意見交換を行いながら情報収集を継続し、会員の皆様と議論を行って、産業用エンジン業界としてのカーボンニュートラルシナリオをブラッシュアップして行こうと考えています。
創立 75 周年記念誌は、予定どおり年度内に発行するスケジュールで 進んでおります。直近 10 年の社会の動きや業界の動向から見た将来展望を皆様にご理解いただけるものと思います。
事務所移転につきましては、移転先も決定し、本年 2 月に移転の予定です。築 61年の現建屋からの移転により、業界への更なる貢献が図れる 事業活動が期待されます。
続いて、当協会が扱う陸用エンジンの昨年の生産実績についてご紹介します。当協会では毎月の生産状況をホームページに公表しておりますが、一昨年、2022 年 1 月から 12 月までの国内と海外を合わせた総生産台数実績は 1,337 万台(対前年比91%)とコロナ禍のなかで大きく回復しました 2021 年(1,470 万台)から約 1 割減の結果でした。 また、昨年 2023 年 1 月から 9 月までの総生産台数実績は 815 万 7千台(前年比 79%)でした。内訳は、ガソリンエンジンが 654 万 1 千台(同 76%)、ディーゼルエンジンが 153 万 6 千台(同 96%)、ガスエンジン 7 万 9 千台(同 100%)でした。このペースで生産が推移した場合、2023 年 1 月から 12 月までの総生産台数は 1,087 万 5 千台(対前年比 81%)となり、2002 年以来の 1,100 万台割れとなる見込みとなっております。
カーボンニュートラルへ向けた大きな変革の中、とりわけガソリンエンジンにおいて大きな変化が顕れてきたようです。
また、先にも述べましたカーボンニュートラルについてですが、カーボンニュートラルを実現できる燃料や内燃機関そのものの高効率化は、今後も大きなテーマとなると考えています。陸内協では内燃機関のカーボンニュートラル化に向けて、会員各位や関連する団体、大学、研究機関と情報を共有し発信してまいりますので、変わらぬご支援を賜りますようお願い申し上げます。
最後になりましたが、本年、この一年皆さまのご発展と更なるご活躍を心から祈念申し上げ、新年のご挨拶とさせていただきます。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。