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●年頭所感(2024年) 一般社団法人日本フルードパワー工業会 会長 梶本一典

 2024年年始会を開催するにあたりまして、一言ご挨拶申し上げます。

 今年は元日早々に能登半島地震が発生し、甚大な被害か被害をもたらしました。お亡くなりられました方々に対し、謹んでお悔やみを申し上げるとともに、避難生活を余儀なくされている方々に心よりお見舞い申し上げます。先週11日には激甚災害に指定されたところであり、インフラの早期復旧と通常の生活への1日でも早い復旧を願っているところであります。

 さて、本日は大変忙しい中、年始会に足を運びいただきまして、また経済産業省から浦田秀行審議官をはじめ、関係団体、学会の方々など多勢の皆様方に、ご臨席を賜りまして、厚く御礼申し上げます。

 今年は辰年でございます。辰年は、陽の気が動いて万物が振動しますので、活力旺盛になり、大きく成長し、形が整う年と言われております。

 みなさんご存知の物流2024年問題。50歳以上の人口が全人口の5割を超えることや、通信分野で、従来の交換網が一斉にIP網に切り替わることや様々な大きな変化がございます。

 また、現場での労働力不足は、一段と顕著になっております。
 政府は、技能をつけた熟練した技能を身に付けた外国人材が、引き続き、熟練やマネジメント層として製造業の現場で活躍できるよう技能実習制度と特定技能制度の見直しを進めると聞いております。ぜひ実態に即し遅滞なく進めていただければと思っております。

 さて、世界を見渡しますと、今年は選挙の年でもあります。先週13日には、台湾の総統選挙が行われました。これからは、インド、ロシア、南アフリカ、インドネシア、メキシコなど大統領選挙や総選挙が控えており、11月には、いよいよアメリカ大統領選挙が実施される予定でございます。

 これらの結果は、少なからず経済に影響を与えますので、予断なく注視していく必要があるかと思っております。

 このような中、わが国の足元の経済は、昨年12月13日に発表されました日銀短観によりますと、大企業製造業の景況感を示す業況判断指数DIは、今回3ポイント改善を致しまして、プラス12ということでございました。これは3期連続の改善ということになります。また、中小企業製造業も6ポイント改善致しまして、プラス1と4年9ヶ月ぶりにプラス圏に浮上したということでございます。これら総称して景況が良くなったかなと、こういうことでございますが、これらの要因と致しましては、価格転嫁の進展や自動車生産の回復などが要因としてあげられております。

 少し前のこととなりますが、昨年10月にまとめました当業界の今年度の出荷額見直しによりますと、残念ながら油圧機器の出荷額が対前年度比約8%減、そして空気圧機器が対前年度比約5%減、合わせまして6%減の9,500億円にとどまるという予測をしております。

 ロシアのウクライナ侵攻から始まりましたエネルギー不足、そして高騰が依然として収まらない中、ハマスとイスラエルの戦争が勃発するなど、地政学リスクがますます増大しております。

 加えまして、欧州、中国経済の低迷などの懸念材料もあり、トータル的には少し厳しい状況にあるのかなとこんなふうに見ております。

 このように今年は、内外の様々な動きが一層激しくなり、経済安全保障の枠組みの中で、近時言われておりますDXやGXへの対応を含めまして、難しい舵取りが求められており、われわれは否が応でもこれら課題に対していかなければなりません。

 工業会と致しましては、これら課題に取り組んで参りますが、他方、大きな行事も控えております。

 ひとつは、この5月にISO-TC131会議を日本で開催することが決定致しました。各国の委員と日本の委員の深い交流をきっかけに致しまして、わが国の国際標準化が一層進むことが期待できます。

 もう一つでございますが、9月にIFPEX2024を東京ビックサイトで開催を致します。すでに台湾から多くの企業からブースの申し込みが来ていると聞いております。

 また、このIFPEX2024では、工業会としては初めての試みでございますが、会員有志企業の若手21名が集まりまして、フルードパワーの未来像ですとか、最新技術の紹介などを行う特別展示企画を検討されていると聞いております。

 これは油圧、空気圧、水圧だとか分けた形ではなく、一緒に共同して何かできないかなというような企画もあるようでございます。
非常にわたし楽しみにしております。

 まあ、いろいろ申しましたが、より力強い業界に向けまして、若手のパワーを期待するのであります。

 皆様方も新しい戦略的製品を出品していただき、IFPEX2024の成功に向けて活動していただければとこんなふうに思っております。

 最後になりますが、ここにご来席のご来賓の皆様をはじめ、フルードパワー産業と関連業界、そして我が国産業の更なる発展を祈念いたしまして、新年のご挨拶とさせていただきます。

 ※1月17日「年始の会」における会長挨拶より

 日本フルードパワー工業会HP

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