第3四半期連結累計期間における安川電機グループの経営環境は、製造業全般における生産の高度化・自動化を目的とした設備投資が底堅く推移した一方、半導体・電子部品向けの需要は調整局面が継続した。
このような環境において安川電機グループの業績は、部品不足などのサプライチェーンの混乱により遅れていた生産が正常化し、受注残の消化が進んだことから前年同期比で増収となった。
利益面については、高騰した原材料費などの価格転嫁の取組みなどにより主要セグメントにおいては増益となったが、昨年度に一時的に発生した退職年金制度の変更や遊休不動産の売却などに伴うその他の収益がなくなった影響により、全社では減益となった。
■地域別の経営環境
日本:半導体市場における在庫調整の継続や自動車市場における投資の低迷などにより、需要は軟調に推移した。
米国:自動車やオイル・ガス関連などの設備投資や一般産業分野における自動化投 資は継続したものの、調整局面にある半導体市場が低調に推移するなど、需要は伸び悩んだ。
欧州:EVなどの成長市場において設備投資が継続したものの、景気後退の影響を受 け需要は減速した。
中国:太陽光発電用パネル製造装置などの一部市場において期初に堅調な需要が見られたが、市場全体の回復が総じて鈍く、製造業全般の需要は伸び悩んだ。
中国除くアジア:アセアン各国やインドにおいてインフラ関連や一般産業分野などで新規設備投資が堅調に推移した。半導体市場の需要については、期の後半に韓国で回復の兆しが見られた。
■セグメント別の状況
<モーションコントロール>
売上収益1,980億62百万円(前年同期比+5.0% )/営業損益284億93百万円(前年同期比+9.0% )
モーションコントロールセグメントは、ACサーボモータ・コントローラ事業とインバータ事業で構成 。
売上収益は半導体・電子部品向けが伸び悩んだものの、インバータ事業を中心に生産の正常化によって販売が伸長したことから前年同期比で増収となった。利益面については、売上増加による利益増加や昨年度来高騰した原材料費の価格転嫁による採算性の改善などにより増益となりました。
〔ACサーボモータ・コントローラ事業〕 受注残の消化を進めたが、半導体・電子部品向けの需要低迷の影響を受け、売上収益は減少した。
〔インバータ事業〕 生産の正常化により、グローバルで売上が拡大した。特に、米国のオイル・ガス関連およびアセ アン各国やインドにおけるインフラ関連需要が堅調に推移し、売上収益は大幅に増加した。
<ロボット>
売上収益1,669億36百万円(前年同期比+3.2% )/営業損益185億61百万円(前年同期比+5.1% )
一般産業分野において、中国では投資が低迷した一方、欧米を中心に人件費高騰・労働力不足を背景とした生産の高度化・自動化の投資が底堅く推移したことから、売上収益は前年同期比で増加した。利益面については、高騰した資材の価格転嫁の取組みやi3-Mechatronicsソリューションによる 高付加価値提案の効果などにより増益となった。
<システムエンジニアリング>
売上収益401億79百万円(前年同期比+15.5% )/営業損益16億33百万円(前年同期比+ 102.6% )
日米における太陽光発電用パワーコンディショナや海外の港湾クレーン関連の販売が堅調に推移し、 売上収益は前年同期比で増加した。 利益面については、売上増加による利益増加に加え、経費コントロールの徹底などにより大幅に改善 した。
<その他>
売上収益191億52百万円(前年同期比△ 14.4% )/営業損益82百万円(前年同期比△ 85.5% )
その他セグメントは、物流サービス事業などで構成。売上収益・営業利益ともに前年同期比で減少した。
■連結業績予想などの将来予測情報に関する説明
通期連結業績予想は、2023年4月7日公表の売上収益5,800億円(前期比4.3%増)、営業利益700億円(2.5%増)、税引前利益727億円(2.2%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益513億円(0.9%減)。
2023年12月1日から2024年2月29日までの期間における平均為替レートについては、1ドル= 145.00円、1ユーロ=155.00円、1元=20.00円、1ウォン= 0.110円。