利益面については、原材料価格上昇分の販売価格への転嫁や、生産ラインの自動化・合理化、調達コストダウンにとり組み、為替も円安で推移したが、前期から継続する原材料・エネルギー価格高騰、固定費の増加な どが大きく影響し、営業利益は118億73百万円(同30.3%減)、経常利益は110億28百万円(同35.5%減)、親会社 株主に帰属する当期純利益は64億69百万円(同47.1%減)となった。
このような状況のもと、不二越グループは、中長期的な脱炭素・EV化をはじめとする産業構造の大変革を見据え、工具、工作機械、ロボット、ベアリング、油圧機器、そして特殊鋼事業をあわせ持つ総合機械メーカーとしての特長を活かし、ユーザーのものづくりに寄与する新商品の開発や技術提案などにより、受注・売上の拡大にとり組んでいる。また、利益の改善に向けて、需要の変化に対応する世界の工場再編、合理化、内製拡大など、事業全般の構造改革を推進している。
■セグメントの業績
部品事業では、建設機械分野の生産調整の影響で中国・欧州で油圧機器の需要が減少したが、自動車の生産回復に加え、産業機械・市販分野でベアリングの需要が堅調に推移し、売上高は1,635億8百万円(同2.8%増)となった。一方、営業利益は、原材料・電力価格の高騰や固定費の増加により、45億2百万円(同41.2%減)となった。
その他の事業では、中国向け特殊鋼の需要鈍化があったが、販売価格の引き上げなどにより、売上高は165 億1百万円(同0.5%増)となった。一方、営業利益は、一部レアメタルやエネルギー価格の高騰などにより、9 億72百万円(同30.4%減)となった。
■ 今後の見通し
次期の事業環境については、主要な事業領域である自動車分野では、半導体不足の緩和により、生産の回復が進んでいるが、産業機械・建設機械・市販分野では、中国・欧州経済の低迷による需要回復の遅れや 原材料・エネルギー価格の高止まりなど、総じて先行きが見通しにくい状況にある。さらに、カーボンニュー トラルに向けて、自動車分野においては、本格的なEV化に向けたとり組みや事業再編が加速し、産業機械分野を含め、ものづくりのDX・AIによる商品開発や生産性向上、SDGsをはじめとした社会・環境問題への対応の 要求などが高まっている。
不二越は、このような産業構造の大変革に対し、ロボットをはじめ多彩な事業・技術・生産ノウハウを有する独自性を活かし、EV・産業機械分野を中心とする事業構造への転換に向けて、新しいビジネスチャンスを創出していく。そして、とくに海外市場に向けて、営業・サービス、製造・調達、研究開発の各面で体質を強化して、 市場の動き・ニーズを捉え、全部門の技術を連携・結集した競争力のある商品・サービスを拡販し、また、自動化・合理化により生産性を向上させていくことで、業績の一層の向上に努めていく。そして、事業活動を通して、環境・社会・ガバナンスなどの課題にとり組み、持続的な企業成長を目指していく。
現時点における2024年11月期の連結業績予想としては、売上高2,500億円(前期比5.8%減)、営業利益 100億円(同15.8%減)、経常利益90億円(同18.4%減)、親会社株主に帰属する当期純利益60億円(同7.3%減) を見込んでいる。
なお、為替レートは1USドル135円、1ユーロ145円、1中国元19.5円を前提としている。