・最大揚程152m、定格荷重145tの揚重性能で風車の高層・大型化に対応・
3社が共同開発した「S-Movable Towercrane」は、十字型の架台の上で自立する陸上風車建設用の移動式タワークレーンで、風車の建設後、クライミングダウンを行い架台の脚部を取り外すだけで、移動用の自走式多軸台車に搭載することができる。
作業性能は、最大揚程152m、定格荷重145tと自立式タワークレーンでは国内最大・最高性能を誇り、5~6MWクラスの大型陸上風車の建設に対応できる。
カーボンニュートラル実現に向けた社会機運が高まる中、再生可能エネルギー由来の電源として風力発電施設の建設需要が高まっている。累積容量が4.8GW(2022年末時点)に達する陸上風力発電施設については、新設需要のみならず、施設の耐用年数経過に伴うリプレース需要も多く、建設市場は5兆円規模と見込まれている。
他方、事業性の観点から陸上風力発電施設の大規模化が進む中、陸上風車の単基出力も増大傾向にある。今後、高さ120m超・5~6MWクラスの大型風車の市場投入が予想されますが、現行の陸上風車建設用クレーン設備で対応できるのは、高さ100m・4MWクラスの中型風車が限界だった。そこで3社は、陸上風車の高層化・大型化に対応できるクレーン設備として「S-Movable Towercrane」の開発・製作に着手した。
国内最大・最高性能の作業性能のみならず、陸上風力発電施設の建設で不可欠となるクレーンの移設を柔軟に行えることも「S-Movable Towercrane」の大きな利点。クレーン部材の解体を架台の脚部だけに留めて次の建設ヤードへ短期間で移設できるS-Movable Towercraneを活用すれば、サイクル工程を5日程度短縮でき、発電事業者は工期・費用の面で大きなメリットを享受できる。
清水建設は、洋上風力分野でも、世界最高性能の自航式SEP船「BLUE WIND」を自社保有し、洋上風力発電施設の風車建設に投入している。陸上風力分野では、「S-Movable Towercrane」を武器に、風力発電施設建設のトップランナーを目指す。
<諸元>
最大作業半径:46m
定格荷重:145t(作業半径12.5m)
揚程:152m
電気容量:600KVA