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シスメックス RA 、約 47 億円投じて工場を移転・拡張、機器生産機能を強化

・グローバルへの安定供給実現と検査室の生産性向上を支援

 シスメックス(神戸市中央区)は12月4日、グローバルでの需要拡大に向けて機器生産機能を強化するため、臨床検査のトータルソリューションに欠かせない検体検査用の搬送システム※1 製品や周辺装置などの設計・生産を担うシスメックス RA (長野県塩尻市広丘野村1850-3)の工場を同市内で移転・拡張することを決定したと発表した。これにより、シスメックス RA の生産能力を現在の 2 倍とし、2025 年 4 月の稼働を目指す。

 近年、先進国では、医療費抑制などを背景として、臨床検査室運営のさらなる効率化が求められている。
 そのため、検査機器の機能向上に加えて、測定の前処理・後処理工程や、多様な検査オーダーに対応するための機器間の検体搬送を自動化・迅速化するなど、臨床検査全体のワークフロー効率化への需要も拡大傾向にある。

 シスメックスは、ヘマトロジー分野において、 1990 年に世界で初めて塗抹標本作製までを完全に自動化した検体搬送システムを開発・発売した。それ以来、臨床検査室における高い生産性と安全性を実現する「オペレーショナルバリュー」の提供を目指して、製品ポートフォリオの拡充を推進してきた。

 シスメックス RA はグループの基幹工場の一つとして、検体検査機器の搬送システム製品をはじめとした臨床検査のトータルソリューションを支える製品の設計から生産までを一貫して担い、直近では世界初の精度管理物質自動測定を実現したシステム製品群などを手がけ、世界中の顧客の効率的な検査室運営に貢献している。

 今回、グローバルでの中長期的な需要拡大に対応し機器生産機能を強化するため、シスメックス RA の工場を移転・拡張する。生産エリアの拡張に加え、部品・ユニットの共通化、生産ラインのフレキシブル化、ロボットを活用した自動化などによる生産効率の向上により、生産能力を約 2 倍に拡大するとともに、他の同社グループ工場の災害など、有事の際の BCP 機能も整備する。 さらに、 既存工場については、 新たな技術の実用化を加速するための設計ラボとして再整備し、精密機器メーカーの拠点が集積する長野県の地の利を活かしたオープンイノベーションを推進することで、様々な顧客のニーズを先取りしたオペレーショナルバリューのさらなる向上を目指す。なお新工場では、2040 年のカーボンニュートラル達成に向けて、太陽光発電設備の導入など、 「ネット・ゼロ・エネルギー・ビル(Net Zero Energy Building:ZEB)」※2 の認定要件も充足させる。

<新工場の概要>
所在地: 長野県塩尻市
敷地面積: 14,960 ㎡
稼働時期: 2025 年 4 月(予定)
投資総額: 約 47 億円
生産品目: 検体検査機器及び周辺装置等

※1 搬送システム:検査機器の組み合わせにより様々な構成、検査運用を可能とするため、検査機器同士を
接続して、機器間で検体を自動搬送するためのもの。これら搬送システムや周辺装置により、従来は手作業で行っていた業務を自動化したり、必要な検査工程に応じて検体を
並べ替えたりすることで、検査業務の効率化、省力化を図ることができる。
※2 ネット・ゼロ・エネルギー・ビル(Net Zero Energy Building:ZEB):高効率な設備システムの導入等により、室内環境の質を維持しつつ大幅な省エネルギー化 (省エネ) を実現した上で、再生可能エネルギーを導入することにより (創エネ) 、年間の一次エネルギー消費量の収支をゼロとすることを目指した建築物のこと。

 ニュースリリース

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