芝浦機械が11月8日に発表した2024年3月期(2023年度)第2四半期累計(4〜9月)連結業績によると、受注高は中国、北米を中心に減少したことにより、725億6千4 百万円(前年同期比34.1%減、海外比率72.7%)、売上高は中国におけるリチウムイオン電池向けセ パレータフィルム製造装置の大幅な増加により、819億1千5百万円(同39.0%増、海外比率77.5%)となった。
損益については、規模増加などによる増益効果により、営業利益は81億6千4百万円(同 388.6%増)、経常利益は90億3千5百万円(同 318.9%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益は相模物流施設の 事業化に係る当社相模工場の南側一部敷地の売却益の計上などにより、143億5千9百万円(同 677.1%増) となった。なお、相模工場の一部敷地の売却益については、等価交換方式のため譲渡先が譲渡資産土地上に建設した建物の持分取得に充てられている。
第2四半期連結累計期間における世界経済は、中国における景気減速や、米国をはじめ世界各国におけるインフレや金融引き締めなどの影響が継続するなど、先行き不透明な状況が続いている。わが国経済は物価上昇や海外景気の下振れによる景気の下押し圧力が継続したものの、生産、設備投資に一部持ち直しの動きが見られた。
芝浦機械グループを取り巻く経済環境は、世界的に脱炭素化などの社会課題解決に向けた動きが加速していることを背景として、EV、再生可能エネルギー、労働生産性向上などに関連した需要が拡大しているものの、部材・エ ネルギー価格の高止まりや中国、米国などの景気低迷の影響などにより厳しい状況が継続した。
このような経済環境のもとで、芝浦機械グループは2023年度を最終年度とする中期経営計画「経営改革プラン」に基づき、高収益企業への変革に向けて、組織再編を中核とした経営改革、成長分野に対応した投資の推進、 資本効率(ROE)の向上を目指した財務戦略の実行を推進している。2023年度の業績予想(2023年5月15日公表)は、「経営改革プラン」最終年度(2023年度)の売上高、営業利益、営業利益率の目標値を超過する計画としており、達成に向けて引き続き各種施策を遂行する。
■セグメント別の概況
<成形機事業>[射出成形機、ダイカストマシン、押出成形機など]
ダイカストマシンは、自動車向けが、販売は韓国、東南アジアで増加、受注は国内、北米で増加した。
押出成形機は、リチウムイオン電池向けセパレータフィルム製造装置が、販売は中国で大幅に増加、需要は引き続き高水準で推移しているが、セパレータフィルムの生産性を向上させる次世代機種への切換時期のため仕様決定に時間がかかっている案件などもあることから、受注は中国で減少した。
この結果、成形機事業全体の受注高は549億3千3百万円(前年同期比39.2%減、海外比率82.9%)、売上高は638 億6千6百万円(同 58.0%増、海外比率88.1%)、営業利益は75億4千5百万円(同
618.9%増)となった。
<工作機械事業>[工作機械(大型機、門形機、横中ぐり盤、立旋盤など)、超精密加工機など]
工作機械の販売は国内における産業機械向けが減少した。受注は北米におけるエネルギー 関連向けが増加したものの、国内における産業機械向け及び中国における風力発電向けが減少した。
超精密加工機においては、光学系金型向けが、販売は微減、受注は国内、中国で減少した。
この結果、工作機械事業全体の受注高は127億9千7百万円(前年同期比12.6%減、海外比率54.3%)、売上高は 122億5千4百万円(同 10.8%減、海外比率55.9%)、営業利益は1億5千5百万円(同 50.4%減)となった。
<制御機械事業>[産業用ロボット、電子制御装置など]
制御機械においては、販売は国内における電子制御装置及びシステムエンジニアリングが増加した。受注は微減となった。
この結果、制御機械事業全体の受注高は41億9千万円(前年同期比2.1%減、海外比率6.3%)、売上高は51億9千9 百万円(同 22.5%増、海外比率5.7%)、営業利益は3億9千1百万円(同 75.8%増)となった。
<その他の事業>
その他の事業全体の受注高は6億4千2百万円(前年同期比13.5%減、海外比率1.9%)、売上高は5億9千5百万円 (同 8.4%増、海外比率3.0%)、営業利益は5千6百万円(同 15.3%減)となった。
■次期見通し
2024年3月期の見通しについては、売上高1,800億円(前期比46.1%増)、営業利益150億円(同160.2%増)、経常利益145億円(同174.7%増)、親会社株主に帰属 する当期純利益180億円(同179.4%増)と前回予想を据え置いている。