kikai-news.net

DMG森精機、23年1〜9月売上は14.2%増の3,802億円、通期予想5,250億円(10.6%増)は変えず

 

 DMG森精機 が10月25日に発表した2023年12月期第3四半期累計(1〜9月)連結業績によると、売上収益は前年同期比14.2%増の3,802億円、営業利益は同33.1%増)の356億円、税引前四半期利益は同29.2%増 の314億円、親会社の所有者に帰属する四半期利益は同38.9%増 の230億円となった。

 第3四半期の連結受注額は、前年同期比7.5%減の3,995億円と、期初想定以上の受注水準となった。5軸加工機、複合加工機などの工程集約機を中心に自動化、フルターンキー化、DX(デジタル・トランスフォーメーシ ョン)、GX(グリーン・トランスフォーメーション)を実現するMX(マシニング・トランスフォーメーション)へ の需要は引き続き堅調。顧客への付加価値提案力に加え、円安の影響もあり、機械1台当たりの受注単価が 59.5百万円(2022年度平均:49.8百万円)へと大きく上昇したことが主因。また、連結受注の約20%を占める サービス・補修部品の受注額も前年同期比14%増と寄与した。

 地域別受注額は、前年同期比、欧州(構成比:55%)が1%増と堅調に推移した。一方、米州(同:19%) が9%減、日本(同:11%)が26%減、中国(同:10%)が11%減、アジア他(同:5%)が24%減となった。産業別の需要は、宇宙・航空、医療、エネルギー・発電関連が引き続き堅調に推移している。

 年度の連結受注見通しについては、5,200億円を見込んでいる。機械本体の受注残高は、2022年12月末の 2,540億円から、2023年9月末には2,800億円まで増加した。第4四半期(10-12月)の売上収益を1,450 億円程度と計画していることから、2023年12月末の受注残高は、前年度末同水準の2,550億円程度を見込んでおり、豊富な受注残が来期以降の業績安定に寄与する。

 2023年~2025年を期間とする「中期経営計画2025」でも掲げているとおり、DMG森精機は工程集約・自動化・DX・GXに より、顧客へより付加価値の高い製品、システム、サービスを提供すること、またそれらを通じて地球環境保護 にも貢献する、MX戦略による持続的成長を目指している。顧客の加工ニーズへのソリューションを一気通貫 で提供できる企業としての基盤強化に取り組んでいく。

 DMG森精機は倉敷紡績が保有する倉敷機械の株式を100%譲り受け、連結グルー プ化することを決議した。倉敷機械が中心事業とするCNC横中ぐりフライス盤は、今後中長期的な成長が期待できる宇宙・航空、新エネルギー、重機械産業での需要が増加している。倉敷機械の開発・製造技術と顧客を確保しDMG森精機の製品群・顧客領域をより充実させること、また高品質なアフターサービスやソリューション 提案を提供できるエンジニアを確保することは、今後のMX戦略において非常に重要であると考える。倉敷機械とのシナジー効果を追求し、DMG森精機グループの持続的な成長と企業価値向上に努めていく。

 また、DMG森精機グループ会社である㈱マグネスケールは、2025年5月の完成を目指し奈良県にレーザスケール の生産工場を建設することを決定した。レーザスケールは加工や検査の精度が向上する中、その需要と重要性が高まっている位置検出システム。新事業所の建設後には、既存の神奈川県・伊勢原事業所と合わせて最 大6万軸の生産能力を確保する予定をしている。

人材育成の面では、全国の顧客や地域の学生に対し、DMG森精機実機を用いた加工に関するトレーニングを提供する 場としてDMG MORI ACADEMY仙台を開所した。この研修施設の新設は浜松、金沢に続く3拠点目となり、今後 は岡山、福岡と2025年にかけて全国5カ所での開所を予定している。また、2024年1月より5軸加工技術の普及と高度専門技術者の地位向上を目的とした資格制度「5軸加工技術検定」の提供を開始する。この資格制度 は、5軸加工の基礎学習者を対象とするWeb試験で、技術者の技術水準を4段階で評価する。5軸加工研究会及 び切削加工ドリームコンテストとの連携や、既存の各教育プログラムと併せて提供することも計画している。同制度の導入により、5軸加工機技術者の育成と地位向上、業界全体の技術力向上に寄与していく。

技術面では、高精度5軸制御横形マシニングセンタ「INH 63 / INH 80」を開発した。同製品は Precision(高精度)、Productivity(生産性)、Flexibility(柔軟性)の3つを特長とした同社独自の技術を備 え、顧客のMXを実現する。既存設備と組み合わせた自動化システムの構築が可能であり、幅広いワークを1つの自動化システムで生産可能。さらに消費電力やCO2排出量を抑え、省エネな生産を実現するための工夫を随 所に施しており、工程集約・自動化・DXを通して省エネでサステナブルな生産現場作りに貢献する。

 販売面では、9月にドイツ・ハノーバーで実施された「EMO HANNOVER 2023」へ出展した。その他、小規模商談会「テクノロジーフライデー」も引き続きグローバルに開催している。今後もデジタルとリアルの両方で顧客とつながり、顧客ニーズに沿った提案を行っていく。

 また、DMG森精機では「よく遊び、よく学び、よく働く」を経営理念に掲げ、従業員の心身のため継続的な健康施策を 展開している。2021年に健康経営宣言を発表し、2023年には経済産業省と日本健康会議が共同で選定する「健康経営優良法人2023」の大規模法人部門 ホワイト500に認定された。今後も従業員の健康の維持・増進に向け て全社的に取り組んでいく。

 さらに、三重県伊賀市にスポーツ振興を図ると同時に地域の交流拠点となる屋内体育施設「DMG MORIアリーナ」 を開所した。1,600人の観客を収容できる第一競技場をはじめ、3種の壁が屋内に常設された国内唯一の アリーナとして注目されるスポーツクライミング施設、アスレチック施設、カフェテリアを併設している。同施設を通じて、地域の人々の健康増進と競技者の技術向上に寄与していく。 DMG森精機は持続可能な社会を目指し、資源循環型の社会に向けた取組みを行っている。DMG森精機グループ最大の生産拠点である三重県・伊賀事業所に自家消費型太陽光発電システムを導入し、2023年2月に第1期の発電を開始した。2024年を予定している第3期の発電開始後には、伊賀事業所の年間電力需要量の約30%を賄い、年間約 5,300トンのCO2排出量を削減できる。今後も再生可能エネルギーの活用拡大を図るとともに、カーボンニュート ラルな社会の構築に貢献していく。

■連結業績予想などの将来予測情報に関する説明

 連結業績予想については、2023年8月3日の「2023年12月期 第2四半期決算短信」で公表した通期の連結業績予想(下記)に変更はない。

 2023年12月期の業績(連結)の見通しは、売上収益5,250億円(前期比10.6%増)、営業利益525億円(同27.4%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益335億円(同31.9%増)。

 DMG森精機の2023年12月期第3四半期決算短信

 決算リリース

 決算説明資料

モバイルバージョンを終了