第1四半期の経営環境は、半導体・電子部品向けの需要が低調に推移したものの、グローバルに製造業全般における生産の高度化・自動化を目的とした設備投資は継続的に行われた。このような環境において同社グループの業績は、部品不足や中国のロックダウン影響により遅れが生じていた生産を挽回し、受注残の消化を進めたことに加え、為替の円安影響もあり増収となった。利益面については、昨年度に一時的に発生した退職年金制度の変更によるその他の収益がなくなった影響を受けたが、生産の効率化や操業度の改善に加え、高騰した原材料の価格転嫁 による採算性の改善などもあり、営業利益は前年同期比で増加した。
■地域別の経営環境
米国:半導体市場が調整局面にある一方、自動車 やオイル・ガス関連などの設備投資が拡大し、一般産業分野においても自動化投資が継続 するなど、需要は堅調に推移した。
欧州:自動車市場や医療・食品などの 一般産業分野において、生産設備の自動化に向けた投資が継続するなど、需要は堅調に推移した。
中国:コロナ禍からの正常化が進み、新エネルギー分野を中心に設備投資が緩やか に回復した。
中国除くアジア:韓国・台湾などで 半導体市場の需要が減少し、インドを除くアセアン各国においては景気低迷の影響もあり、総じて設備投資は伸び悩んだ。
■セグメント別の状況
売上収益695億23百万円(前年同期比+25.0% )/営業損益98億49百万円(前年同期比+43.7% )
モーションコントロールセグメントは、ACサーボモータ・コントローラ事業とインバータ事業で構成 。
売上収益は、前年度に発生した中国のロックダウン影響が解消し、生産の正常化が進んだことから増収となった。利益面については、ACサーボモータ・コントローラ事業において調整局面にある半導体市場の影響を受けたが、インバータ事業の大幅な改善により、セグメント全体では増益となった。
〔ACサーボモータ・コントローラ事業〕
米国・中国除くアジアなどで半導体・電子部品向けの需要が低迷したものの、中国市場の緩やかな回復などによって売上収益は堅調に推移した。
〔インバータ事業〕
中国のロックダウン影響により遅れが生じていた生産が正常化したことに加え、米国におけるオイル・ガス関連需要が好調に推移した。また、グローバルで脱炭素化(カーボンニュートラル)を意識した省エネ化投資も継続したことから、売上収益は伸長した。
<ロボット>
売上収益527億52百万円(前年同期比+18.5% )/営業損益61億90百万円(前年同期比+86.2% )
欧米を中心に一般産業分野において、人件費高騰・労働力不足を背景に生産の高度化・自動化を目的とした投資が行われた。また、自動車市場においてEV関連を中心に設備投資が継続したことに加 え、中国においても太陽光発電用パネルの製造など、新エネルギー分野の需要が好調に推移 した。このような海外市場の需要拡大を的確に捉えたことに加え、操業度の改善や部品の内製化などによる 生産の効率化を進めた結果、売上収益・営業利益はともに前年同期比で大幅に増加した。
<システムエンジニアリング>
売上収益143億92百万円(前年同期比+0.5% )/営業損益9億82百万円(前年同期比△5.8% )
上下水道用電気システム関連や太陽光発電用パワーコンディショナなどの需要は底堅く推移 した。 これにより、売上収益・営業利益はともに前年同期に対し横ばいで推移した。
<その他>
売上収益58億44百万円(前年同期比+0.1% )/営業損益△15百万円(前年同期比98百万円悪化 )
その他セグメントは、物流サービス事業などで構成されている。 売上収益は前年同期に対し横ばいで推移し、営業利益は僅かに悪化した。
■連結業績予想などの将来予測情報に関する説明
通期連結業績予想は、半導体市場などで需要は低調に推移しているものの、製造業全般における自動化・省力化に関する設備投資が継続していることに加え、受注残の消化により業績は堅調に推 移していることから、2023年4月7日公表(下記)の予想を据え置いている。
売上収益5,800億円(前期比4.3%増)、営業利益700億円(2.5%増)、税引前利益727億円(2.2%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益513億円(0.9%減)。
なお、2023年6月1日から2024年2月29日までの期間 における平均為替レートについては、2023年4 月7日に公表した想定レートより変更していない。(1ドル=130円、1ユーロ=140円、1元=19円、1ウォン=0.1円)
決算説明資料(業績概要)