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ニデック、ブラジル航空機メーカーEmbraerと航空産業向け電機駆動システムで合弁設立へ

 ニデックは6月18日(日本時間)、米国子会社であるニデックモータ(以下、NMC)がブラジル航空機メーカーのEmbraer S.A.と航空産業向けの電機駆動システムに関する合弁会社(社名:Nidec Aerospace LLC)設立に向けた契約を締結したと発表した。この合弁会社の設立は、両者の有する世界最高峰の技術を結集し、次世代の航空移動手段の可能性を拡げることを目的とするもの。

 合弁会社は2023年6月19日から6月25日に開催される第54回パリ航空ショーにおいて、空飛ぶクルマと呼ばれる電動垂直離着陸航空機(以下、eVTOL)向けに製品及びサービスを提供し、Urban Air Mobility(以下、UAM)市場へ新規参入することを発表する。UAMとは、都市や郊外で乗客や荷物を運ぶ新たな航空システムやサービスを指し、eVTOLはその次世代移動手段の1つとして注目されている。

 合弁会社の電機駆動システムの最初の販売先は、Embraerの子会社であるEve Air Mobilityとなる。電機駆動システムは同社のeVTOLに搭載される。Eve Air Mobilityは、効率的で持続可能な都市型移動手段を提供することでUAM市場の世界的リーダーとなる独立系企業。

 世界No.1の総合モーターメーカーであるニデックは、合弁会社にeVTOLの機体を宙に浮かせ、推進するための駆動モータに関する技術やノウハウを提供し、航空ソリューションプロバイダーとして50年以上の歴史を誇るEmbraerはモータの状態を管理し、周辺機器との連携を担う制御技術を提供する。両社の最先端技術を活用することで、合弁会社はeVTOL向けに電機駆動システムの開発、製造、販売を行い、将来は、eVTOLだけではなく、様々な電動航空機に電機駆動システムを提供する予定。また、合弁会社は、NMCが51%, Embraerが49%の出資比率で構成され、本社は米国ミズーリ州セントルイスに位置し、両社のブラジルやメキシコの既存工場を活用して製造を開始する。合弁会社は直ちに設立手続きを開始し、独禁法等の各国規制取得次第、両社の取締役会の決議を経て操業を開始する。

 2022年10月に国連の専門機関であるICAO(International Civil Aviation Organization:国際民間航空機関)が2050年までのカーボンニュートラル達成の目標を採択するなど、航空業界においても脱炭素の流れが加速している。ニデックが創業以来築き上げてきたモータの軽薄短小の技術と世界有数の航空機メーカーであるEmbraerとの協業によって、電動航空機の実用化がより早く実現し、世界のCO2削減に貢献できると考えている。

 ニデックとEmbraerは、これまで技術及びビジネスの両面においてグローバル展開をしてきた長い歴史があり、有望な技術、高い成長性の見込まれる市場を絶えず模索し、企業価値を拡大し続けてきた。

■Embraer President 兼 CEO、Francisco Gomes Neto 氏コメント
 「イノベーションは将来の成長の原動力であり、戦略計画の重要な柱です。この度、ニデックと戦略的パートナーシップを組むことにより、航空分野へ新しいソリューションを提供できることを非常に嬉しく思っております。また、航空市場における電機駆動システムの需要は急速に高まっており、ニデックと Embraer が手を組むことにより、持続可能な航空の未来に向けて、先進的な製品開発を着実に推進できると確信しています。」

■Embraer S.A.について
 ブラジルに本社を置く世界的な航空機メーカーであるエンブラエルは、商用、ビジネス用、防衛・安全保障や農業の分野で航空事業を展開している。同社は航空機とシステムの設計、開発、製造、販売及びサービスを提供している。同社は 1969 年の設立以来、8,000 機以上の航空機を納入しており、平均すると、エンブラエル製航空機は約 10 秒ごとに世界のどこかで離陸し、年間 1 億 4,500 万人以上の乗客を輸送している。また、最大 150 席の商用ジェット機の大手メーカーであり、北アメリカ、南アメリカ、アフリカ、アジア、ヨーロッパにわたって、産業部門やオフィス、サービス及び部品分野を主導し、ブラジルにおいて高付加価値商品を提供する主要な輸出業者。

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