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日立建機、国内IoTスタートアップのアプトポッド社と資本業務提携契約

高速データ伝送技術で、建設機械の遠隔操作や自動運転のためのシステムを共同で開発

 日立建機は5月22日、㈱アプトポッドに対して出資を行い、業務提携契約を締結したと発表した。今後、アプトポッド社が提供する高速IoTプラットフォームを活用し、リアルタイム性の高い「デジタルツイン*1」の構築や、デジタルツインを用いて建設機械の遠隔操作や自動運転を行うシステムの開発などに共同で取り組む。

*1:IoTなどを用いて現実世界におけるさまざまな情報を収集し、仮想空間で現実世界を再現する技術。現実世界の変化に合わせて、仮想空間上の情報もリアルタイムに反映される。

 日立建機は、「人、機械、現場環境」の情報を相互に共有することで、人と機械が「協調して」働き、安全性と生産性を両立する「協調安全」の施工現場の実現をめざしている。具体的には、機械やセンシングシステムで収集した、建設機械の位置・稼働情報、作業員の位置・生体情報、作業進捗による地形の変化、気象予報などのさまざまな情報に基づいて、人に注意を促したり、自動運転の建設機械を制御したりして、現場全体を安全な方向に導きながら、生産性の高い施工を行う。

 このような施工現場を実現するためには、リアルの世界で収集したさまざまな情報を仮想空間上に再現したデジタルツインが必要。土木施工現場では、建設機械の作業によって地形が刻々と変化するため、地形などの大容量のデータを高速に伝送、処理する必要があり、リアルタイム性の高いデジタルツインの構築はこれまで困難だった。

 アプトポッド社の高速IoTプラットフォーム「intdash(イントダッシュ)」は、100ミリ秒~1ミリ秒間隔程度の高頻度で発生するデータを、インターネットを経由して、高速・大容量かつ安定的に伝送することが可能。この技術を、5Gなどの次世代高速通信と組み合わせることによって、建設機械や施工現場から絶え間なく大量に発生するデータを収集、処理しながら、リアルタイム性の高いデジタルツインを構築することが可能になる。

 日立建機は、高速・大容量のデータ伝送・処理に関する通信・ソフトウェア技術を有するアプトポッド社との業務提携を通じて、土木施工現場向けのリアルタイム性の高いデジタルツインや、デジタルツインを活用した建設機械の遠隔操作や自動運転を行うシステムの開発に共同で取り組む。

 日立建機グループは、これまで、電動化建機やICT施工ソリューションの開発などにおいて、異業種を含む世界中のビジネスパートナーと連携してきた。また、ベンチャー・キャピタルが募集するファンドへの出資などを通じて、スタートアップとの連携を強化してきた。今後もオープンイノベーションを積極的に推進して新たな価値を創造し、顧客のニーズに応える製品・ソリューションを提供していく。

■日立建機 執行役常務兼CTO、パワー・情報制御プラットフォームビジネスユニット長および研究・開発本部長 中村 和則氏のコメント:

 アプトポッド社は、日立建機がめざしている「協調安全」の現場における建設機械の自動運転を実現するために、必須の技術をお持ちです。このような世界最先端の通信技術を持つパートナーと連携することができ、大変嬉しく思います。今回の資本業務提携を通して、これまで以上にアプトポッド社と密に連携し、両社がともに成長していきたいと考えております。

 日立建機は今後もオープンイノベーションを推進し、世界中のお客さまにとって、社会・環境・経済的に価値のある製品・ソリューションを開発・提供し続けていきます。

■アプトポッド社 代表取締役 坂元 淳一氏のコメント:
 当社では自動車、産業機械、ロボットなど、さまざまな産業分野で加速するDX化に貢献すべく、高速でリアルタイム性の高い独自のIoT技術を開発し、提供してまいりました。建設分野におきましても、建設機械やセンサシステムを中心に施工フィールド全体のデータネットワーク化を実現することで、オペレーションの遠隔化やデータ集積・分析により、安全性や効率性をめざした次世代のアプリケーション提供が可能となります。今回の資本業務提携により、日立建機の技術と当社技術を融合し、建設シーンの未来に向けたイノベーション創出にチャレンジしてまいります。

■アプトポッド社について
社名:株式会社アプトポッド
事業内容:M2M*2/IoT関連ソフトウェア企画開発/販売
M2M/IoTクラウドサービス運営
M2M/IoT関連ハードウェア企画開発/販売
アプリケーション/システム プロトタイピング
代表者 代表取締役:坂元 淳一
本社:東京都新宿区
設立:2006年12月
従業員:65名(2023年3月末時点)
ウェブサイト https://www.aptpod.co.jp/index.html
*2:Machine to Machine、機械と機械が通信ネットワークを介して互いに情報をやり取りすること。

■日立建機について
 日立建機は、油圧ショベル、ホイールローダ、道路機械、鉱山機械などの開発・製造・販売・サービスの事業をグローバルで展開している建設機械メーカー。新車販売事業に加えて、部品・サービス、再生(部品・本体)、レンタル、中古車の「バリューチェーン事業」を拡大し、革新的なソリューションをお客さまに提供する真のソリューションプロバイダーとしての成長をめざしている。世界に約25,000人の従業員を擁し、2022年度(2023年3月期)の連結売上収益は1兆2,795億円、海外売上収益比率は82%。

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