・顧客とともに施工現場の労働環境の改善、安全性の向上、人財育成の強化をめざす
日立建機は5月15日、遠隔・自動化ソリューションに対応する油圧ショベルのベースマシンを開発したと発表した。
施工現場においては、安全性や生産性の向上、労働環境の改善、労働力不足による技能者の人財育成などが課題となっている。その解決策の一つとして、建設機械の遠隔操作や自動・自律運転に顧客から期待が寄せられている。こうした市場の変化やニーズに対応するため、日立建機グループは、1990年代初めから建設機械の遠隔操作や自動運転に関する研究開発に着手し、これまでさまざまな要素技術の開発を進めてきた。2020年には建設機械の自律運転に対応するためのシステムプラットフォーム「ZCORE(ズィーコア)」を開発して以降、そのコンセプトのもとに研究開発を推進している。
建設・土木工事などの現場では、施工内容や使用する建設機械の組み合わせが多岐にわたり、現場の環境も複雑。現在、災害復旧現場や人が立ち入れない環境での作業など、特定のシーンや業種で、油圧ショベルの遠隔操作が行われている。しかし、油圧ショベルの遠隔操作を行うためには、大掛かりな機械の改修や、周辺機器のセットアップが必要。今後、施工現場の課題を改善するためには、油圧ショベルの遠隔操作を導入しやすくし、自動運転のソリューションを顧客と協創するためのベースマシンが必要となっていた。
ベースマシンは、ZCOREのコンセプトのもと、ICT油圧ショベルを用いて開発を進めた。遠隔操作時でも「マシンコントロール機能」を用いて半自動で効率的に施工できるほか、「エリアコントロール機能」で、油圧ショベルの上下・左右方向の動作範囲を制限して接触被害を軽減するなど、機械の周囲環境が把握しづらい状況においても、オペレーターの操作を支援することが可能。
今後は、遠隔での掘削・積み込み作業における運転支援機能の拡充や、掘削・旋回・積み込みといった一定の動作を繰り返す作業を自動で行うなど、顧客の施工に合わせたソリューション開発を段階的に進めていく。このような建設機械の操作技術の高度化により、経験を問わず働きやすい建設機械やソリューション、労働環境を整えることで、施工現場での技能継承が促進され、技能者の育成にも寄与する。
なお、第5回建設・測量生産性向上展「CSPI-EXPO」(2023年5月24日(水)~26(金)、場所:千葉県・幕張メッセ)において、同ベースマシンおよび遠隔・自動化ソリューションを展示する予定。
日立建機グループは、引き続き「人と機械の最適な関係」をめざし、顧客の課題を解決するソリューション「Reliable Solutions」を顧客と協創していく。今後も、建設機械の遠隔操作や自動運転、自律化に向けた研究・開発を推進し、現場の安全性・生産性の向上などの顧客の課題に貢献していく。
■日立建機について
日立建機は、油圧ショベル、ホイールローダ、道路機械、鉱山機械などの開発・製造・販売・サービスの事業をグローバルで展開している建設機械メーカー。新車販売事業に加えて、部品・サービス、再生(部品・本体)、レンタル、中古車の「バリューチェーン事業」を拡大し、革新的なソリューションを顧客に提供する真のソリューションプロバイダーとしての成長をめざす。世界に約25,000人の従業員を擁し、2022年度(2023年3月期)の連結売上収益は1兆2,795億円、海外売上収益比率は82%。