2022年度における同社グループを取り囲む事業環境は、米中対立激化とロシアのウクライナ侵攻による国際安全保障環境の緊張が続く中、エネルギー・部材価格を始めとした世界的なインフレの拡大、グローバルサプライチェーンの混乱による供給能力の低下、欧米中央銀行の利上げ政策に伴う国際資本市場の潮流変化など、激動する世界情勢の中で底堅い回復基調に推移した。このような情勢の下で同社グループでは、価格決定力と製品供給力の強化、ESGとDXによる持続可能な経営体制づくり、海外事業と次世代事業による中長期成長戦略を進めた。
■連結地域区分別売上高
国内向け売上高は、国土強靭化加速化対策を背景として堅調な需要環境が続き、前年同期比6.4%増の152億円となった。
■所在地別セグメント
日本:日本では、堅調な需要環境に対して部材欠品が続いたものの、国内販売、製品輸出、海外工場向け部品輸出ともに好調に推移し、総売上高は前年同期比14.9%増の245億5千万円、営業利益は原価上昇に対して国内向け販売価 格改定が遅れ、同5.4%減の8億3千万円に留まった。
海外:米国では、力強い需要環境に対して部材欠品に伴う供給制約があったものの、販売が好調に推移し、総売上高は前年同期比53.4%増の78億円、営業利益は販売価格改定と輸送コスト低減により収益構造改革が進み、同109.8% 増の6億8千万円となった。
インドネシアでは、国内販売が順調に回復するとともに、第三国向け輸出が好調に推移し、総売上高は前年同期比 35.9%増の70億1千万円、営業利益も同204.4%増の8億3千万円となった。
中国では、国内需要の低迷が続く中で、グループ企業向けの製品・部品輸出を拡大させた結果、総売上高は前年同期比63.3%増の15億8千万円、営業利益は同2億1千万円改善し、1億3千万円の黒字に転換した。
■今後の見通し
国内では、今後も総額15兆円の防災・減災・国土強靭化の為の5ヵ年加速化対策、米国では総額1兆2千億ドル のインフラ投資計画、ASEANや新興諸国でもインフラ投資や鉱山開発の活発化など、世界の建設機械需要は激動する世界情勢の中で一進一退を繰り返しつつも底堅く推移していくものと期待される。
一方で、世界的に急拡大するインフレと金融引き締め政策、安全保障環境激変に伴う国際社会のブロック化、ICT やAI 技術の革新による社会変化など、世界経済の行方は予断を許さない。
このような情勢の下で同社グループでは、販売価格改定と高付加価値化による収益構造改革、人的資本投資とDXを通じた生産性向上と新たな付加価値創造、経済ブロック化を前提としたサプライチェーンとグローバル事業活動 の修正により、新たな事業環境に適応した経営体制への転換を進めていく。
また引き続き、アジア市場深耕と北米市場展開、海外事業領域拡大、新技術活用による次世代事業開発、需要変化 対応力の強化を進めるとともに、積極的にESGを推進し、中長期的な企業価値向上を目指していく。
2024年3月期(2023年度)の連結業績は、売上高330億円(前期比4.9%増)、営業利益29億5千万円(同17.7%増)、経常利益28億円(同20.3%増)、親会社株主に帰属する当期純利益18億3千万円か(同8.0%増)を予想している。