コベルコ建機と安藤ハザマは5月11日、複数の自動運転油圧シ ョベルを同時稼働・管理するための実証実験を実施したと発表した。
安藤ハザマは、建設現場の生産性の向上を目的に、ICT を活用した建設機械の自動運転システムの 開発に取り組んでいる。建設現場での施工は、複数種の建設機械を使用する必要があり、これまで 振動ローラとブルドーザの自動運転システムを開発してきた。現場で多く使われている油圧ショ ベルの自動運転システムについても技術開発する必要があったが、開発には高度な技術が必要なことから建設機械メーカーとの共同研究を検討してきた。
両社は油圧ショベルの自動運転推進に向けた研究開発を促進するために、お互いの強みを活かして 共同研究を行うこととし、2019 年 4 月に共同研究に関する協定を締結した。共同研究において、コベルコ建機は主に油圧ショベルの自動運転システム開発を、安藤ハザマは現場へ適用するための施工と安全に対する管理システム開発や現場運用ルール化を担っている。
2022 年冬、これまでの共同研究や現場実験を踏まえ、1 人の作業管理者が 2 台の自動運転ショ ベルの運転管理を同時に行う実証実験を行った。ティーチング※1 作業や油圧ショベルの非常停止を含めた自動運転のすべての操作をタブレットから複数台同時に指示・管理することが可能なシス テムとなっている。また、LiDAR※2 で取得した掘削箇所の形状やアタッチメント角度検出のセンサによるバケット爪先の移動軌跡をタブレット画面に表示することができ、作業管理者がショベルの 状態をリアルタイムに確認することができる。
今回の実験では、ダンプトラックへの土砂積込みの作業時間について、有人運転(1 人で 1 台)と 自動運転で比較を行い、1 人で 2 台の自動運転ショベルを管理することにより、1 人あたりの土砂積込み量が有人運転時より約 3 割増加することを確認した。このことで、建設現場での省人化 と生産性の向上に寄与すると考えている。本件は、初期段階での結果であり、今後、顧客の現場 ごとに動作を最適化することで生産性を更に向上できると考えている。
コベルコ建機と安藤ハザマは、これらの共同研究の成果をもとに、自動運転の高度化と実用化に向 けこれらも協力していく。
※1 自動運転ショベルにおけるティーチングとは、プログラム作成より、現場環境に応じて、重機の動作を 記録する作業。
※2 光を使ったリモートセンシング技術を用いて物体検知や対象物までの距離を計測するもの。