・HC事業は1.3%増の1.379億円、23年度予想は6.2%増の1,465億円
2022年度における世界経済は、新型コロナウイルス感染症による経済活動制限の緩和が進み景気回復の動きが見られたが、一方で地政学リスクの高まりによるエネルギー価格の高騰、インフレ加速に対する各国金融政策等、景気悪化の懸念がぬぐい切れない不透明な情勢となった。こうした中、わが国経済は、長引く円安基調による物価上昇、人手不足による物流コスト上昇等により、景気の 先行きについては依然として見通しづらく、将来予測は困難な状況と言える。
■セグメント別の業績
①AC(オートモーティブコンポーネンツ)事業セグメント
同セグメントは、四輪車用油圧緩衝器、二輪車用油圧緩衝器、四輪車用油圧機器とその他製品から構成。
i) 四輪車用油圧緩衝器
四輪車用油圧緩衝器は、新型コロナウイルス感染拡大による経済活動停滞や半導体不足からの回復、中東での市販製品の好調、円安による為替影響により、売上高は2,022億円と前年度に比べ19.5%の増収となった。
ii) 二輪車用油圧緩衝器
二輪車用油圧緩衝器は、東南アジア、インド及び中国での販売好調により、売上高は459億円と前年度に比べ31.6%の増収となった。
iii) 四輪車用油圧機器
パワーステアリング製品を主とする四輪車用油圧機器は、電動パワーステアリングやCVT(無段変速機)用 ベーンポンプの販売減少により、売上高は210億円と前年度に比べ11.9%の減収となった。
iv) その他製品
鉄道車両用オイルダンパを中心とするその他製品の売上高は94億円となっ。
以上の結果、同セグメントの売上高は2,785億円と前年度に比べ17.1%の増収となり、セグメント利益は 187億円と前年度に比べ27億円の増益となった。
②HC(ハイドロリックコンポーネンツ)事業セグメント
i) 産業用油圧機器
建設機械向けを主とする産業用油圧機器は、主要な市場である中国での需要は減少したものの、北米市場の堅調な需要を背景に、売上高は1,303億円と前年度に比べ1.3%の増収となった。
ii) システム製品
舞台機構、艦艇機器、免制振装置を主とするシステム製品の売上高は40億円と前年度に比べ13.1%の減収となった。
iii) その他製品
その他製品の売上高は35億円と前年度に比べ6.6%の増収となった。 以上の結果、同セグメントの売上高は1,379億円と前年度に比べ0.9%の増収となったが、光熱費等のエネルギー価格の高騰によりセグメント利益は75億円と前年度に比べ43億円の減益となった。
③航空機器事業
同セグメントは、航空機器用離着陸装置、同操舵装置等から構成。航空機器事業は、売上高は44億円と前年度に比べ20.8%の増収となり、セグメント損失は14億円と前年度に比べ25億円の増益となった。
④特装車両事業、電子機器等
同セグメントは、特装車両及び電子機器等から構成。
i) 特装車両
コンクリートミキサ車を主とする特装車両の売上高は92億円と前年度に比べ0.7%の増収となつた。
ii) 電子機器等
電子機器等の売上高は12億円と前連結会計年度に比べ4.4%の増収となった。
以上の結果、同セグメントの売上高は104億円と前年度に比べ1.1%の増収となつたが、セグメント 利益は7億円と前年度に比べ2億円の減益となった。
■今後の見通し
同社グループを取り巻く環境では、グローバルでの需要回復を見込んでいる一方、減産リスクや原材料および輸送費の高騰などが懸念されており、予断を許さない状況が続くものと見込まれる。
四輪車用油圧緩衝器を中心としたAC事業は、今後も緩やかな回復が続くと想定されることから、前年度比増収を予想している。また、建設機械用油圧機器を中心としたHC事業においては、中国の市況低迷が続くものの、北米・アジア・日本といった地域では2022年度と同等水準の需要を見込み、前年度比増収を予想している。
このような環境のもと、2024年3月期(2023年度)の連結業績予想は以下のとおり。
売上高4,500億円(前年度比4.4%増)、セグメント利益280億円(同 9.8%増)、営業利益298億円(同8.4%減)、親会社の所有者に帰属する当期利益200億円(同26.5%減)。
なお、業績予想における 為替レートについは、1USドル126円、1ユーロ133円を前提としている。