2022年度(2022年4〜23年3月)におけるファナックグループを取り巻 く状況については、自動車関連をはじめとして製造業全般において設備投資 が活発に行われた。しかし、半導体等の部品不足による生産活動への影響、 原材料価格の高騰、急激な為替変動等、先行き不透明な状況が続いた。この ような中、ファナックグループでは、新型コロナウイルスの感染拡大防止を 図りつつ、顧客への商品の供給とサービス活動の継続に努めた。特に半導体等の部品不足については、代替品の採用、設計変更等あらゆる対策を行い、影響を最小限にとどめるべく、会社の総力を挙げて対処した。
加えて、世界的に脱炭素社会へ向けた動きが広がっている中、グローバルに事 業を展開しているファナックグループにとっても気候変動は重要な経営課題であると認識し、商品の省エネルギー性能向上に向けた開発を推進した。また、本社地区および壬生地区に大規模な太陽光発電設備を設置する等、省エネルギー化に取り組んだ。
また、2022年度は、コンパクトかつ広い動作範囲で、力強いスマートなデザ インの1000kg可搬ロボット「ファナック ロボット M-1000iA」が「2022年日刊 工業新聞社十大新製品賞 本賞」、「2022年日経優秀製品・サービス賞 日経産業新聞賞」、「2022年度グッドデザイン賞 グッドデザイン・ベスト100」を受賞した。
■部門別の状況
<FA部門>
FA部門の連結売上高は、2,501億13百万円(前期比10.6%増)、全連結売上高に対する構成比は29.4%となった。
<ロボット部門>
ロボット部門については、中国でEV、物流、再生可能エネルギー関連向けを中 心に需要が好調に推移し、売上が前期比で大幅に増加した。米国では一般産 業向けおよびEV関連の需要を取り込んだ自動車産業向けの需要が好調で、欧州で も一般産業向けの需要が好調に推移し、総じて売上が大幅に増加した。国内では一般産業向けを中心に期の後半に入り需要が堅調で、売上が増加した。
ロボット部門の連結売上高は、3,569億84百万円(前期比33.0%増)、全連結売 上高に対する構成比は41.9%となった。
<ロボマシン部門>
ロボマシン部門については、ロボドリル(小型切削加工機)では、好調だったパソコン、タブレット、スマートフォン市場向けの需要が一巡し、売上が前期比 で減少した。ロボショット(電動射出成形機)では、IT関連、医療市場向けの需要が堅調に推移し、前期と同水準の売上となった。ロボカット(ワイヤ 放電加工機)では、自動車部品市場、医療市場向けの需要が堅調に推移し、売上 が増加した。
ロボマシン部門の連結売上高は、1,327億88百万円(前期比8.2%減)、全連結 売上高に対する構成比は15.6%となった。
<サービス部門>
サービス部門については、「サービスファースト」をキーワードに、サービス 体制の強化、IT技術の積極的な導入による効率アップ等を進めた。
サービス部門の連結売上高は、1,120億71百万円(前期比19.6%増)、全連結売 上高に対する構成比は13.1%となった。
■今後の見通し
世界的な景気減速の懸念に加えて、2022年度下期からの在庫調整による生産へ の影響が見込まれることから、2023年度(2024年3月期)の連結業績予想を以下 のとおりとした。2024年3月期通期の連結業績予想は、売上高8,195億円(前期比3.8%減)、営業利益1,563億円(18.3%減)、経常利益1,855億円(19.8%減)、親会社株主に帰属する当期純利益1,371億円(19.6%減)。
また、2023年4月1日から2024年3月31日までの期間における為替レートは、 平均125円/ドル、135円/ユーロを想定している。