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清水建設、ロボットで床版更新工事のマーキング作業を効率化

・日本道路とロボットの性能を検証

 清水建設は4月19日、グループ会社の日本道路の協力を得て、東名高速道路所領橋他2橋床版取替工事にデンマーク製の自動マーキングロボット「タイニーサーベイヤー(Tiny Surveyor)」2台を導入、橋面のマーキング(墨出し)作業の生産性を約90%向上させたと発表した。

 清水建設の土木工事現場では、「Shimz Smart Site Civil」というデジタル化コンセプトに基づき、自律・自動施工を推進している。構造体の品質を左右する施工技術については自社開発を原則とするが、仮設工事については開発主体を問わず、生産性向上に寄与する装置やロボットを導入している。タイニーサーベイヤーの導入は後者の一例。

 高速道路の床版取替工事は通行車両の交通規制を伴うため、工期短縮が求められる。そのクリティカルパスの一つが、残置構造物を切断機械で損傷しないように、老朽化した床版の切り出し線を橋面に引くマーキング作業。現状では膨大な作業が人手で行われており、しかも中腰で行う苦渋作業になっていることから、作業の効率化と負担軽減が課題になっていた。そこで清水建設はタイニーサーベイヤーの機能に着目。日本道路と共同で実施した同ロボットの性能試験により所定の測量・マーキング精度を確認できたことから、所領橋他2橋床版取替工(神奈川県足柄上郡山北町谷ケ〜静岡県御殿場市東田中)への適用を決めた。

 このロボットは、名称通り小型のロボットで、制御ソフトを内蔵するタブレットと自動追尾型トータルステーション(TS)がセットになる。使用手順は、はじめに、床版切り出し線のマーキング作業に必要な測量精度や自律走行のルールを独自に設定し、マーキングポイントの2次元座標とともに制御ソフトに入力する。実際の作業では、TSが取得するロボットの現在位置の2次元座標をもとに、制御ソフトがロボットを所定の場所に誘導しマーキングを指示する。バッテリーを動力源とし、400mLの線引き用スプレー缶をセットすると延200mのライン引きが可能。

 今回の工事では、約2,250m2の橋面に点在する1,077点の測量ポイントがロボットによるマーキングの対象になった。ロボット2台を投入することで、測量工13人・日を想定していた作業が1.5人・日で済み、コスト増なく生産性が約90%向上した。

 清水建設と日本道路は今後、床版取替工事や空港等の大規模舗装工事にタイニーサーベイヤーを導入し生産性の向上を図るとともに、互いに培ってきた道路や橋梁の施工関連技術の融合、新技術の共同開発、プロジェクトの共同受注などに取り組み、シナジー効果の創出に努める。

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