・がん治療用ウイルス G47Δ製剤の製造能力を増強
・約 120 億円の戦略投資により、今後の需要増に対応
デンカ(東京都中央区)は4月12日、注力事業の 1 つと位置付けているがん治療用ウイルス G47Δの事業基盤の強化と将来を見据えた供給力増強を目的として、約 120 億円の戦略投資を決定したと発表した。
がん治療用ウイルス G47Δ製剤は、2021 年 6 月、悪性神経膠腫(*)を対象とする再生医療等製品とし て、厚生労働省より条件及び期限付承認に該当する製造販売承認を受けており、デンカが本品を製造している。
本品は生きたウイルスそのものを製剤化したもので、製造には大規模なウイルス培養技術や特殊な試験技術が必要であり、長年に亘り、ウイルス感染症に対するワクチンと検査試薬の開発・製造を行ってきた当社の技術・ノウハウが活かされている。
今回の投資は、ヘルスケア分野の中核拠点である五泉事業所(新潟県五泉市)に新たな製造施設を設置するためのものであり、デンカは、本品の製造工程開発で得た経験と実績をもとに、同施設並びに従来施設を活用して、ウイルス製剤を中心に、医薬品の治験薬や製品等を対象とする製造開発受託企業としてのプレゼ ンス確立・発展にも積極的に取組んでいく。
デンカは 2023~2030 年度の 8 カ年を対象とした経営計画「Mission 2030」において、ヘルスケア分野 では 700 億円の戦略投資枠を定めており、今回の投資はその中でも中核の 1 つと位置付けて実行する
デンカはこれからも、「化学の力で世界をよりよくするスペシャリストになる」というパーパスのもと、 世界に誇れる化学で、人々の暮らしと社会に貢献し続ける。
<投資概要>
・投資拠点:五泉事業所新潟工場(新潟県五泉市)
・投資金額:約 120 億円(見込) ・主な内容:製造設備の増強、既存製造棟建屋の改修
・竣工時期:第 1 段階:2025 年度末(予定)、第 2 段階:2027 年度下期(予定) ※本件による 2023 年度デンカ連結業績への影響は軽微。
<五泉事業所(鏡田工場・新潟工場)概要>
・鏡田工場:新潟県五泉市木越字鏡田 1359-1
・新潟工場:新潟県五泉市南本町 1-2-2
・製造品目:抗原検査キット(新型コロナウイルス、インフルエンザウイルス、RS ウイルス等)、免疫血清検査試薬、臨床化学検査試薬、細菌検査試薬、ウイルス検査試薬など、インフルエンザワクチン、破傷風トキソイド、がん治療用ウイルス製剤 ・従業員数:約 850 名(五泉事業所全体計)
(*) 悪性神経膠腫とは 神経細胞の支持組織であるグリア細胞から発生する原発性脳腫瘍である神経膠腫のうち、悪性度が 高い脳腫瘍の一種で、悪性度が高いグレードIII・IVに分類され、日本国内の新規罹患者数は年間 2,800 人程度と推定されている。