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丸紅、チリ国営銅公社向け造水・送水事業の長期売水契約に関する融資契約締結と着工を発表

 丸紅は3月29日、チリ共和国の大手送電事業者である Transelec Holdings Rentas Limitada(以下、Transelec)と共に出資参画する特別目的会社を通じ、チリ・国営銅公社(以下、CODELCO)向け造水・送水事業に関わる長期売水契約を、2022年7月にCODELCOとの間で締結したと発表した。また、プロジェクト向けの融資銀行団との間で、2023年3月8日に融資契約(を締結し、2023年3月27日に着工したことも発表した。

 プロジェクトは、チリ北部第2州沿岸部トコピージャ市の南に海水淡水化プラント、沿岸部から内陸約160km・標高約3000mに位置する銅鉱山エリアまでの高圧送水パイプライン・ポンプ場、大型貯水槽、各鉱山向け配水パイプライン、ならびに架空送電ライン・変電所を建設し、完工後20年間に亘り保守・運転するもの。設計・調達・建設工事はTechint Chile S.Aが担う。CODELCOによる銅生産の約半分を占めるチリ北部三大鉱山(ラドミロトミッチ鉱山、チュキカマタ鉱山、ミニストロアレス鉱山)への給水を担う。丸紅にとって、チリにおける初の逆浸透膜(RO膜)方式の大型海水淡水化・送水プロジェクトとなるとともに、チリにおいて複数の大型鉱山に効率的に送水する初めての大型共用インフラ事業となる。プロジェクトの造水容量は日量約7万トンで、将来的に日量約17万トンまで拡張される計画。

 CODELCOは世界の銅生産量のうち約10%のシェアを誇り、世界的にも競争力の高い優良な銅鉱山・設備を複数保有している。一方で、CODELCOは現在も銅鉱山開発・銅精製プロセスに使用する水の全量を地下水等の内陸水に依拠しているものの、環境保護や地域住民への水資源の確保、及び持続的な成長を重視し、2030年までに内陸水消費量を60%削減する目標を掲げており、プロジェクトはこの目標に資するもの。

 Transelecは、チリ国内で69箇所の変電所、総距離10,000km超の高圧送電網を保有するチリ最大の送電事業者で、チリ国民の約90%への送電をカバーしている。

 Transelecは架空送電ライン・変電所の建設、保守・運転に関わる知見のみならず、チリでの開発に関わる広範囲での知見を提供する。

 丸紅は、中東を中心に複数の発電造水事業(IWPP)・造水事業(IWP)実績があり、直近ではサウジアラビア王国・シュケイク3造水プロジェクトで海水淡水化プラントの建設、保守・運転の実績を有している。またチリにおいては、2006年よりAguas Decima S.A(100%出資)、2010年よりAguas Nuevas S.A.(75%出資)(以下、AN社)を通じて、全16州中6州で全人口の約10%に対し上下水道事業を展開している。また、送水パイプラインやRO膜方式の中小型淡水化プラントを含む水事業インフラ操業の知見が豊富なAN社がプロジェクトの保守・運転を主導する。

 丸紅は、2021年3月に気候変動長期ビジョンを策定、中期経営戦略「GC2024」においてもグリーン戦略を企業価値向上に向けた基本方針の一つと位置付けている。水事業の知見を活かし、プロジェクトへの参画を通じて、持続可能な社会の実現に欠かすことのできない銅の安定供給に貢献していく。

 詳細は、ニュースリリース

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