三菱重工グループの三菱重工エンジン&ターボチャージャ(神奈川県相模原市、以下、MHIET)は、3月1日、同社グループの小型空冷式ガソリンエンジン(以下、メイキエンジン)事業を㈱名光精機(愛知県津島市)に譲渡することを決定したと発表した。MHIETは67%の株式を保有する三菱重工メイキエンジン(愛知県津島市、以下、MHIM)の株式全持分を2024年3月末を目途に名光精機に譲渡する予定。これにより、名光精機はMHIMの株式を100%取得し、完全子会社化する。
メイキエンジンは、1940年(昭和15年)に米国から導入したエンジンをベースとして、1946年に当時の三菱重工業名古屋機器製作所(名古屋市中村区)で製造を開始したもので、製造事業所の社内略称である“名機”をブランド名として、農機・建産機等の作業機械の駆動源として国内外で活躍している他、ポータブルガス発電機シリーズは愛知県津島市のふるさと納税返礼品としても選ばれている。メイキエンジン事業を展開するMHIMは2019年に譲渡先となる名光精機が新たに資本参加し、現在の愛知県津島市に工場を移転、昨今では、来るカーボンニュートラル社会に向けて、水素エンジンや燃料電池、電動モーター等のあらゆる可能性を模索しつつ、従来の顧客の要望に則った形でのパワーユニットや新製品を絶え間なく世界に提案していきたいとの思いから、新たなブランドとして“MEiKi POWER”を設定し、新しい技術・市場開拓にチャレンジしている。
今回、メイキエンジンが主戦場とする国内の農機市場が成熟期を迎えつつある中、高品質、高性能、高耐久性と言った日本製の強みを生かしつつ、海外市場での積極的な展開、世界的潮流である脱炭素への対応等をより一層推進していく上で、開発サイクルの短期間化や顧客ニーズの短納期化といったスピード感のある経営が求められており、今後、メイキエンジン事業の更なる発展を目指すためには、海外での強いネットワーク構築と量産ビジネスに特化した経営スタイルへの転換が必要不可欠と判断した。
名光精機は主に自動車に使用される超精密加工部品の量産を得意としているメーカーであり、中国に合弁会社、タイにも自社工場を保有する等、グローバルに事業を展開している企業。名光精機は自動車部品の製造・販売事業を事業の中核に据える一方で、その量産ビジネスに特化した経営ノウハウを活かし、新たなビジネスの柱を構築する事を模索していた。
今回の事業譲渡はメイキエンジン事業が更なる発展を目指す上で必要不可欠となる経営ノウハウを持つ名光精機と、同社の事業拡大に対する考えが一致し、合意に至ったものであり、メイキエンジン事業がこれまで培ってきた全ての事業基盤を将来の成長・発展に繋げ、“MEiKi POWER”に込めた思いを体現すべく、様々な業種の顧客にこれまで以上の価値を提供するとともに、同事業に従事する社員に対しても新たな価値と飛躍の機会を提供することができるものと確信しているとしている。
ニュースリリース(名光精機)