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三菱重工、伊ターボデンが欧州の大手製紙会社向けに産業用大型ヒートポンプを受注

・工業プロセス用蒸気・高温熱の脱炭素化に貢献へ

・三菱重工コンプレッサの遠心式コンプレッサを組み合わせ、製紙・パルプ製造プロセスに蒸気を供給

・産業界の脱炭素化ソリューションをグローバルに支援、三菱重工グループの企業シナジーを発揮

 三菱重工業は2月24日、グループでイタリアに本拠を置くターボデン社(本社:ロンバルディア州、Turboden S.p.A)が、、大型ヒートポンプ技術を中核としてCO2を排出せずに高温の熱(蒸気)を発生させる設備を、欧州の大手製紙会社が北欧で進めるプロジェクト向けに受注したと発表した。産業における脱炭素化技術ソリューションの世界的プレーヤーとして、大量の蒸気が必要な製紙・パルプ製造プロセスに脱炭素蒸気を供給することにより、製紙業界の脱炭素化対応に貢献する。

 ターボデン社の大型ヒートポンプ技術は、有機媒体を活用するバイナリー発電と並ぶ同社の独自技術。これと遠心式コンプレッサの組み合わせに基づく革新的な熱供給システムは、グリーン電力を使用し、低品位熱(10°Cから20°Cの範囲)を熱源として、紙の生産プロセスで必要とされる170°Cで12MWth(注)の過熱蒸気を生成する。この熱供給ソリューションは、生産プロセスのニーズに合致するよう、ターボデン社および今回の納入先企業により開発されたもの。

 ターボデン社の社長兼CEOであるパオロ・ベルッチ(Paolo Bertuzzi)は、次のように述べている。
「このプロジェクトは、工業プロセスにおける蒸気や高温熱の需要が高い顧客に向けた大型ヒートポンプソリューションにおける、当社のリーダーシップを確立するための重要なマイルストーンとなります」。

 この大型ヒートポンプシステムは、三菱重工コンプレッサ(広島市西区)のコンプレッサを採用している。このため今回の取り組みは、三菱重工グループのシナジーが発揮された好例ともいえる。

 三菱重工コンプレッサの執行役員である小林 雅博は次のように述べている。
 「当社は、この革新的な大型ヒートポンプのためのコンプレッサを供給できることを大変嬉しく思います。当社の長年にわたる実績を活かし、最先端かつ実績豊かなコンプレッサ技術を提供することで、最高の信頼性と卓越した性能を実現します」。

 ターボデン社は、1980年にミラノ工科大学の教授らが主体となって設立された有機ランキンサイクル(ORC)タービンなどを開発・製造する企業で、2013年から三菱重工グループに加わっている。同社は同プロジェクトに先立ち、イタリアの鉄鋼業界向けに大型ヒートポンプのソリューションを開発した。この大型ヒートポンプは、イタリアの製鉄企業ORI Martin社の生産プロセスに組み込まれ、地域の暖房ネットワークに熱を供給し、システム全体のCO2排出量を削減するもの。

 三菱重工業は、広範囲かつ高効率な発電・エネルギーシステムの提供を追求するグローバル企業として、ターボデン社と緊密に連携し、世界規模でのエナジートランジションを推進していく。

 ※MWth(megawatt thermal)は熱利用設備の容量を表す単位。

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