2022年4〜12月期における世界経済は、新型コロナウイルス感染症、ロシアによるウクライナ侵攻など の影響により、部材需給逼迫やエネルギー価格高騰などサプライチェーンの混乱が継続し、中国における経済活 動の停滞や、米国をはじめ世界各国におけるインフレや金融引き締めなどの影響により、第3四半期連結累計期間 後半にかけ景気の減速感が強まった。わが国経済は生産、設備投資に持ち直しの動きが見られたが、サ プライチェーンの混乱や急激な為替変動などの影響を受けた。 芝浦機械グループを取り巻く経済環境は、前年度より引き続き設備投資需要が回復基調で推移したものの、 中国におけるロックダウンや、中国、米国などの景気減速の影響を受けた。また、世界的に脱炭素化などの 社会課題解決に向けた動きが加速していることを背景として、EV、再生可能エネルギー、労働生産性向上などに 関連した需要の拡大が見られる。
このような経済環境のもとで、芝浦機械グループは中期経営計画である「経営改 革プラン」に基づき、高収益企業への変革に向けて、組織再編を中核とした経営改革、成長分野に対応した投資 の推進、資本効率(ROE)の向上を目指した財務戦略の実行に取り組むとともに、社会課題を解決する高付加価値商品の創出と高効率な生産の実現に向けたDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進している。
成長分野に 対応した投資においては、市場規模が拡大している超精密加工機、脱炭素化を背景としたEV需要の高まりにより 受注が急拡大しているリチウムイオン電池向けセパレータフィルム製造装置の増産体制構築を進めた。
また、 成長市場であるインドにおいてインド工場の射出成形機生産能力増強のため新工場増設を進めている。
■セグメント別の概況
<成形機事業>[射出成形機、ダイカストマシン、押出成形機など]
ダイカストマシンにおいては、販売は国内、東南アジアにおける自動車向けが増加した。受注は国内、韓 国、東南アジア、北米などで自動車向けを中心とした設備投資需要が回復したことにより、増加した。
押出成形機においては、販売と受注はEV関連の設備投資需要の拡大に伴い、中国におけるリチウムイオン電池 向けセパレータフィルム製造装置が大幅に増加した。
この結果、成形機事業全体の受注高は1,102億9千2百万円(前年同期比23.2%増)、売上高は619億7百万円(前年 同期比11.5%増)、営業利益は26億5千9百万円(前年同期比3.6%減)となった。
<工作機械事業>[工作機械(大型機、門形機、横中ぐり盤、立旋盤など)、超精密加工機など]
工作機械においては、販売は国内における産業機械向けおよび北米におけるエネルギー関連向けが増加した。受注は中国における風力発電向けが増加したものの、国内における産業機械向けが減少した。
超精密加工機においては、光学系金型向けが販売は国内で減少、受注は中国で減少した。
この結果、工作機械事業全体の受注高は201億7千7百万円(前年同期比10.7%減)、売上高は195億5百万円(前年 同期比19.1%増)、営業利益は2億5千万円(前年同期は営業損失2千7百万円)となった。
<制御機械事業>[産業用ロボット、電子制御装置など]
制御機械においては、販売は国内における電子制御装置およびシステムエンジニアリングが増加しました。受 注は中国における産業用ロボットが減少した。
この結果、制御機械事業全体の受注高は68億1千2百万円(前年同期比8.0%減)、売上高は62億9千4百万円(前年 同期比12.6%増)、営業利益は3億1千7百万円(前年同期比42.8%増)となった。
<その他の事業 >
その他の事業全体の受注高は10億4千万円(前年同期比37.2%増)、売上高は8億5千9百万円(前年同期比19.4% 増)、営業利益は8千8百万円(前年同期比12.5%増)となった。
■連結業績予想などの将来予測情報に関する説明
通期の業績については、2022年11月9日に公表した業績予想(下記)は変更していない。
売上高1,300億円(前期比20.6%増)、営業利益50億円(同18.0%増)、経常利益54億円(同18.8%増)、親会社株主に帰属す る当期純利益43億円(同15.4%増)。