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●年頭所感(2023年) 一般社団法人 日本陸用内燃機関協会 会長 木股 昌俊

 新年明けましておめでとうございます。只今、ご紹介にあずかりました木股でございます。

 令和 5 年の新春を迎え、高い席からではございますが、陸用内燃機関協会を代表し、謹んで 年頭のご挨拶を申し上げます。

 まず昨年の総括ですが、新型コロナウィルス感染症が継続、3 年目となり、ウイズコロナを 前提とした企業活動が各社に定着、感染拡大の防止と経済社会活動の両立を維持し、消費と投 資を中心とした回復が期待される状況となってまいりました。ただし、ウクライナ情勢の長期 化等による原材料価格の更なる上昇や供給制約、欧米の急速な金利上昇等からの 大幅な円安 による景気減速懸念等もみられ、まだまだ予断を許さない状況に思えます。

 さて、令和 2 年 10 月の菅前首相の 2050 年カーボンニュートラル宣言より、国内では脱炭 素に向けた議論が急速に高まっています。陸内協におきましても、昨年度に“陸内協 カーボン ニュートラルシナリオ”を作成し、昨年 4 月に関係省庁にご説明するとともに、ホームページ 上で公開をいたしました。このシナリオでは、用途によって電動化が進むものの、無電化地域 など内燃機関が必須となる場合があり、今後も内燃機関の更なる低燃費化・クリーン化及びカ ーボンニュートラル燃料への対応をしていく必要があるとまとめています。

 このカーボンニュートラル燃料には、バイオ燃料や水素と CO2 から合成する“いわゆる”e- fuel など多くの選択肢がありますが、供給量やコストの点でまだまだ多くの課題が残っていま す。一方、現在のエンジンや燃料供給インフラがそのまま使えると言う点で期待が高まってい ます。そこで、昨年 2 月に新しいバイオディーゼル燃料として、ユーグレナ様に講演をしてい ただきました。さらにカーボンニュートラル燃料の動向調査として、日本ガス協会殿や日本L Pガス団体協議会殿との意見交換を行い、各エネルギー業界がどのような方向に向かっている かを調査しました。 今後も、このような情報収集を継続し、会員の皆様と議論を行ってカーボンニュートラルシナ リオをブラッシュアップして行こうと考えています。

 続いて、当協会が扱う陸用エンジンの昨年の生産実績についてご紹介します。当協会では毎 月の生産状況をホームページに公表しておりますが、一昨年、2021 年 1 月から 12 月までの国 内と海外を合わせた総生産台数は 1,470 万台(前年比 124%)とコロナ禍のなかで大きく回復し ました。一方、昨年 2022 年 1 月から 9 月までの総生産実績は 1033 万 3 千台(前年同月比 93%)でした。内訳は、ガソリンエンジンが 865 万 6 千台(前年比 92%)、ディーゼルエンジ ンが 159 万 8 千台(同 98%)、ガスエンジン 7 万 9 千台(同 123%)でした。このまま生産が推移すると、2022 年 1 月から 12 月までの総生産台数は 1,377 万 7 千台(前年比 94%)が見 込まれます。
コロナ禍の落ち込みからは回復したものの、ウクライナ情勢、また半導体をはじめとした部品供給不足等のサプライチェーン問題が生産の伸びに影響を及ぼしているとみられます。

 さて、先にも述べましたカーボンニュートラルについてですが、2050 年の段階でも多くの 内燃機関が活躍していると考えています。従って、カーボンニュートラルを実現できる燃料や 内燃機関そのものの高効率化は、今後も大きなテーマとなると考えています。陸内協では内燃 機関のカーボンニュートラル化に向けて、会員各位や関連する団体、大学、研究機関と情報を 共有し発信してまいりますので、変わらぬご支援を賜りますようお願い申し上げます。

 最後になりましたが、本年が皆さま方にとりまして良い年でありますよう、心からお祈り申し上げますとともに、ますますのご発展とご多幸を祈念申し上げ、新年のご挨拶とさせていただきます。

 本年もどうぞよろしくお願いいたします。

 日本陸用内燃機関協会HP

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