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IHI、東邦ガス知多LNG共同基地向けにメタネーション標準機を初受注

・バイオガス由来のCO₂を有効活用

 IHIは1月13日、東邦ガスグループより、知多LNG共同基地向けに、二酸化炭素(CO₂)と水素(H₂)から都市ガスの燃料などとして利用できるe-methane(合成メタン,CH₄)を製造するメタネーション装置を受注したと発表した。同メタネーション装置は,2022年10月に販売開始した、設計を標準化したメタネ―ション装置の初受注となる。

 東邦ガスは知多市と連携し、バイオガス由来のCO₂を活用したメタネーション実証試験に取り組む。実証試験は、知多市南部浄化センターで下水汚泥処理により発生するバイオガス由来のCO₂と、冷熱発電等による電力を用いて製造する水素を原料としてメタネーションを行い都市ガス原料として利用するもので、地域資源の有効活用に資する取り組み。メタネーションによって合成されたe-methaneを都市ガス原料として利用するのは国内初となる見込み。将来的にはメタネーション設備の大規模な社会実装により、ガス自体の脱炭素化を目指すもので、2023年度から2026年度まで実証試験は行われる予定。

 IHIは実証設備における,e-methane製造までの一連のプロセスにおける設計を進め、標準機を2023年度に納入する予定。

 メタネーションは、二酸化炭素と水素を触媒で反応させることで、燃料であるe-methaneを製造するカーボンリサイクル技術。e-methaneは、事業所で排出されるCO₂から製造し天然ガスの代替燃料として所内で使用することや、都市ガス導管への注入により、他の事業所や一般家庭で使用することが可能となる。既存の都市ガスインフラを活用できることから、メタネーションはカーボンニュートラル実現に向けたキーテクノロジーの一つとして期待されている。

 IHIはこれまでに、高性能で長寿命な独自のメタネーション触媒と、石油化学用リアクターなどの反応器設計技術を生かし、高効率なメタネーション装置の開発に取り組んできた。現在、メタネーション設備の大型化や、CO₂からプラスチック原料である低級オレフィン製造技術の開発などを進めている。またCO₂回収技術も保有しており、メタネーションとCO₂回収技術を組み合わせた効率的なソリューションを提供している。

 加えて、IHIは「環境価値管理プラットフォーム」により設備の運転データから算出したCO₂排出/削減量をブロックチェーン技術により記録・見える化し、環境価値に変換して外部市場に流通させるサービスを展開している。これを適用することで、e-methaneの環境価値を定量化・デジタルアセット化し、メタネーションの社会実装を一層促進することが可能となる。

 IHIは、多様なソリューションを組み合わせるエンジニアリングサービスの提供によって、2050年カーボンニュートラルの実現に貢献してまいく。

 詳細は、ニュースリリース

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