2022年3〜11月の世界経済は、世界的なモノ不足が続いていたなか、ロシアのウクライナ侵攻に対する大規模な経済制裁によって、部品・資材・エネルギー不足と物価高に拍車がかかった。歴史的なインフレと物価安定を企図した欧米各国での急速な利上げは、企業活動にも消費活動にもマイナスの影響を与えるとともに、為替相場の急変を招いており、先行きはより不透明な状況が継続している。
このような環境下にあっても、衣食住の「住」に深く関わり、社会インフラを支えるエッセンシャル事業に必要不可欠な同社製品の需要は、今後も安定拡大が見込めると考えており、同社グループでは生産能力の増強に取り組んで いる。2022年4月に取得した米国サウスカロライナ州の工場において、2022年9月からクローラーローダー の生産を開始した。同製品の全数を本社工場(長野県埴科郡坂城町)で生産し、その9割以上を米国で販売していた。今後は同製品の世界最大の市場である米国で生産することにより、リードタイムを短縮し、より機動的 な供給体制を構築することで、販売台数と市場シェアの拡大を図る。
■セグメント別の経営成績
(日本) 日本セグメントは、売上高のほとんどが欧州ディストリビューター向けの販売で占められている。欧州で は、ウクライナ危機や世界的な原材料価格の高騰等を背景とした物価上昇から、政策金利が引き上げられるなど先行きは引き続き不透明な状況にあったが、製品販売は引き続き好調に推移した。欧州ディストリビュータ ー向けのミニショベル及び油圧ショベルの販売台数は大きく増加し、 売上高は443億4千7百万円(前年同期比19.5%増)となった。セグメント利益は、売上高の増加、製品価格の値上げ、及び円安影響等の増益要因はあったものの、原材料価格及び運搬費の増加等により、75億3千8百万円(同19.6%減)となった。
(米国) 米国セグメントでは、住宅市場において金利上昇と木材等の材料不足が懸案事項ではあるものの、製品販売は引き続き好調に推移した。米国ではミニショベル、油圧ショベル及びクローラーローダーの販売台数が大きく増加し、製品価格の値上げ、及び円安影響等により、売上高は736億2千5百万円(前年同期比44.7%増)となり、 セグメント利益は76億1千3百万円(同59.3%増)となった。
(英国) 英国セグメントでは、製品需要は好調を維持したものの、現地での製品在庫の不足により、販売台数は前年同期に比べて減少した。製品価格の値上げや円安影響はあったものの、売上高は93億4千7百万円(前年同期比18.6%減)となり、セグメント利益は8億5千9百万円(同20.2%減)となった。
(フランス) フランスセグメントでは、製品需要は好調を維持したものの、現地での製品在庫の不足により、販売台数は前年同期に比べて減少した。製品価格の値上げや円安影響はあったものの、売上高は54億7千7百万円(前年同期 比25.6%減)となり、セグメント利益は5億3百万円(同0.2%増)となった。
(中国) 中国セグメントでは、東南アジア向けに製品を販売したこと等により、売上高は1億2千8百万円(前年同期比135.8%増)となったが、 原材料価格の高騰により、 セグメント利益は1百万円(同98.3%減)となった。
■連結業績予想などの将来予測情報に関する説明
2022年10月13日付の「業績予想及び配当予想の修正に関するお知らせ」で公表した通期の業績予想(下記)に変更はない。
売上高1,730億円(前期比22.8%増)、営業利益200億円(同12.6%増)、経常利益210円(同16.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益155億円(同16.1%増)。
なお、業績予想における第3四半期以降の為替レートは、1米ドル=135円、1英ポンド=150 円、1ユーロ=133円、1人民元=19.10円を前提としている。