皆様、新年明けましておめでとうございます。
こうした中、日本経済に目を転じますと、2022年3月以降、円安傾向が続いております。こうした為替の変動は日本及び欧米諸国の金融政策の影響によるものですが、円安は輸出産業にとってプラスである反面、輸入産業にとってはマイナスに作用し、その結果、ロシア・ウクライナ紛争に伴う原材料価格やエネルギー価格の上昇も相俟って、国内物価への影響やそれに伴う家計消費への影響が懸念されております。
一方、日本の機械産業にとって大きな課題となっているのが、脱炭素社会の実現への取り組みです。昨年11月下旬、日本政府はGX(グリーントランスフォーメーション)実行会議において、二酸化炭素(CO2)の排出に負担を求めるカーボンプライシングを2030年代に本格導入する調整に入りましたが、脱炭素社会を実現するためには、原材料調達・加工組立・製品出荷・販売・メンテナンスといった一連のビジネスプロセスにおいて、大量のエネルギーと鉱物資源を必要とする機械産業にとっても大きな影響を与えることになります。
しかしながら、脱炭素社会への移行は機械産業にとって新市場を創出するチャンスでもあります。再エネ機器、新エネ機器、省力化・省資源化機器の開発は、日本の機械産業の得意とするところです。中国の動向も含め、世界情勢は不確定要素を益々増加させる時代に入っていますが、日本の機械産業には、その英知をフルに活かして世界の脱炭素化と国際関係の安定化に貢献することが期待されていると言えるでしょう。
さて、今年の干支は兎ですが、これにまつわる諺の一つに「兎の上り坂」」があります。これは物事が問題なく速やかに解決することを意味します。機械振興協会では、今年も技術研究所、経済研究所及びBICライブラリ(機械産業の専門図書館)に蓄積されている資源を活用し、まさに坂を登る兎の如く機械産業の課題解決に迅速に取り組んでまいります。
皆様には、引き続きのご指導、ご鞭撻の程、宜しくお願い致します。