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●年頭所感(2023年) 三菱重工業株式会社 社長兼CEO 泉澤清次

 【世界的に不安が広がった2022年と当社グループの2021事業計画】

 ロシアのウクライナ侵攻、世界経済の不安定さにより、世界が抱える不安が、安全保障に加えバリューチェーン、エネルギーや食料などにも広がっています。

 一方、脱炭素社会構築への取り組みは、これまでの「再生可能エネルギーの推進」だけでなく、既存の設備を活用した、「環境と経済を両立させる方法」へ進化しています。これは、私たちが「MISSION NET ZERO」で提言したシナリオと方向を一にするものです。

 このような変化の激しい事業環境の中でも、2021事業計画をほぼ計画通り進捗させることができました。皆さんの努力に心より感謝します。

 「収益力の強化」については、各事業の努力に加え、コロナ禍からの市場回復により中量産品や航空エンジンが挽回するとともに、ガスタービン、製鉄機械などが受注を伸ばしました。

 「成長領域の開拓」については、エナジートランジション分野でCO2回収など具体的な案件の事業可能性調査(FS:Feasibility Study)が始まり、今後の拡大が期待されています。社会インフラのスマート化でもYokohama Hardtech Hub(YHH)で物流機器の実証試験が行われるなど、社会実装に向けたプロジェクトが進んでいます。

【2021事業計画の最終年度を迎えるに当たって】

 今年は2021事業計画の最終年度です。

 事業利益率は7%をコミットしていますが未だ道半ばであり、業務のデジタル化・効率化による固定費削減、サービスの拡大などを継続して進めていきます。

 成長戦略は具体的な案件形成に取り組んでいきます。米国でIRA法案が成立し、エナジートランジションが加速する機会を捉え、代替燃料の製造から利用に至る供給網の確立といった、バリューチェーン構築に向けた共創にも挑んでいきます。

 社会インフラのスマート化は、既に取り組んでいる物流の自動化、データセンター向けの統合ソリューションなど、機器の知能化や最適化による付加価値創造を強化していきます。

【計画目標の達成に向けた心構え】
 1つ目は「チャレンジのために常識を超えていく」。他拠点の良いところを真似する、異なる視点を取り込むといった前例にとらわれない発想は、現場だけではなくコーポレート部門においても同様に重要です。

2つ目は「シナジーの発揮」。多岐にわたる製品事業を有する当社の強みを生かすため、横の連携を強化してください。共創により技術や製品を掛け合わせ、新たなソリューションを生みだすことを期待します。

 3つ目は「目標の共有」。事業計画を各部門にブレークダウンし、具体的な目標を立て、実行していきましょう。特に管理者は、経営方針や社会の動向を感度良く捉え、自部門を俯瞰して適切に具現化する視座を持つよう努めてください。

 三菱重工業HP

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