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日立建機、再生部品の塗装に水性塗料を初めて活用、環境負荷低減に寄与

 日立建機は12月20日、環境負荷低減に貢献する取り組みの一環として、2023年1月から、土浦工場で生産している再生部品の一部に使用する塗料を、油性塗料から水性塗料へと変更すると発表した。

 油圧・駆動系の再生部品1を対象とし、水性塗料への変更により、現行の油性塗料に比べて塗装時に排出されるVOC2量を80%、CO2量を22%削減する。水性塗料の活用は、日立建機では初めての取り組みになる。

 VOCは揮発性を有し、大気中で気体状となる有機化合物の総称で、光化学スモッグやPM2.5などの大気汚染の原因物質の一つとされている。長時間の吸入によって目、鼻、喉の炎症、頭痛など人体への悪影響が出ることが確認されている。水性塗料は、油性塗料に比べてVOC含有量やCO2排出量が少なく、大気汚染や健康被害リスクを軽減でき、経年劣化にも強いことが特徴。

 しかし、日光に長時間当たると、色あせや表面がひび割れしてしまうなどの耐候性や、塗装作業時に気温や湿度などの環境要因に大きく影響されるため、扱いづらいなどの課題もあった。今回は、外観に影響を与えない機械内部の部品に塗装を限定し、また、塗装作業時の気温や湿度による品質への影響を調査したり、塗装時に使用するスプレーガンと塗装する部品との距離の調節などを行うことにより、水性塗料の活用を可能にした。

 日立建機グループは、これまでにもVOC排出量抑制に取り組んでおり、2019年度には日立建機グループ全体で使用している塗料の見直しを行い、より隠蔽性*3の高い塗料を活用することによって塗料の使用量を減らし、VOC排出量も削減した。また、日立建機の連結子会社である㈱日立建機ティエラでも、2019年からミニショベルの部品の一部塗装に粉体塗料を活用することで、VOC排出量の削減を実現するなど、塗料の変更によって環境負荷削減に努めてきた。

 日立建機グループは、これからも、部品再生事業をはじめとするバリューチェーン事業の強化を進め、環境負荷低減および人にやさしいものづくりの実現に向けた取り組みを通じ、社会課題の解決に貢献していく。

*1:対象の再生部品は、油圧ショベルの油圧ポンプ、センタージョイント、走行・旋回モーター。

*2: VOC(Volatile Organic Compounds)とは、揮発性の有機化合物の総称で大気汚染の原因の一つ。

*3:下地を覆い隠す性能のことで、隠蔽性が高い塗料の場合、低い塗料に比べて重ね塗りの回数を減らすことが可能。

 ニュースリリース

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