IHIは12月15日、マレーシア国営石油ガス会社Petroliam Nasional Bhd(ペトロナス社)の子会社で、同社のクリーンエネルギー事業を担うGentari(ジェンタリ) Hydrogen Sdn. Bhd.(以下GHSB社)と、マレーシアにおいて、再生可能エネルギー由来のグリーンアンモニア製造・販売の事業性を検討・調査する覚書を締結したと発表した。
今回の検討では、太陽光発電の適地であるマレーシア・ジョホール州を候補地としてグリーンアンモニアを製造し、発電・船舶用燃料供給を目的とした現地での利用および日本・アジア市場への輸出を行う、アンモニア販売事業を検討する。IHIは主に技術的検討と日本での需要調査を担当し、GHSB社はマレーシアにおける再エネ供給や各種設備に関する諸条件設定および需要調査を担当する。2023年初頭まで事業性評価を行った後、2026年の商業プラント完成および運転開始を目指す。
現在市場に流通している化石燃料由来のアンモニアは製造時にCO₂を排出するが、再生可能エネルギー由来のグリーンアンモニアの製造が実現すると、発電や船舶用燃料,肥料用原料といったアンモニア利用に係わるサプライチェーンでのCO₂排出量を極めて低く抑えることが可能となる。 またアンモニアは水素キャリアとして有望視されているほか、製造・貯蔵・輸送に係わる技術が既に確立されていることから早期社会実装が期待されている。
この調査事業を通じて、マレーシアにおけるアンモニアの多様な利用モデルを示すとともに、将来の需要増大へ対応する燃料アンモニアサプライチェーンの構築を進めることで、日本及びマレーシアにおける燃料アンモニア社会実装の早期実現と、グローバルな環境負荷の低減に貢献していく。