kikai-news.net

IHIプラント、JFEスチールから世界最大級の製造能力を持つメタネーション装置を受注

・試験高炉向けに排出ガス中のCO₂を有効活用

 IHIとグループ会社のIHIプラント(東京都江東区)は12月1日、JFEスチール(東京都千代田区)より、試験高炉の排出ガスから1日あたり24トンのCO₂を再利用し、1時間に500Nm³のメタンを製造するメタネーション装置を受注したと発表した。メタネーション装置としては現時点で世界最大級の製造能力を持ち、CCU(*1)設備としての今回の受注を機にさらなる大型化に取り組む。

 受注は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「グリーンイノベーション基金事業(*2)/製鉄プロセスにおける水素活用プロジェクト」の「外部水素や高炉排ガスに含まれるCO₂を活用した低炭素化技術等の開発」において、同社が採択されたことによるもの。

 鉄鋼業では、製造過程で日本の産業部門全体の40%のCO₂を排出することが課題となっている。JFEスチールでは、石炭を使って鉄鉱石を還元・溶解し,鋼のもととなる銑鉄をつくる高炉プロセスの排出ガスからCO₂を回収し、メタネーション反応を活用して水素と反応させて製造したメタンを還元材として使用するカーボンリサイクル高炉(*3)などの開発により、製鉄プロセスからのCO₂排出を50%以上削減する技術の実証を進めている。

 IHIは、触媒の高度化、反応器の大型化、反応熱の有効利用プロセス改善などを中心にさらなる開発を推進し、2024年度予定のメタネーション装置の納入につなげていく。また将来に向けたさらなる大型化に取り組み、数千~数万Nm³/hの合成能力を持つメタネーション装置を、2030年までに国内外にて商用化する予定。

 メタネーションは、二酸化炭素(CO₂)と水素(H₂)を触媒で反応させることで、燃料である合成メタンを製造するカーボンリサイクル技術。この合成メタンは、事業所で排出されるCO₂から製造し天然ガスの代替燃料として所内で使用することや、都市ガス導管への注入により、他の事業所や一般家庭で使用することが可能となる。既存の都市ガスインフラを活用できることから、メタネーションはカーボンニュートラル実現に向けたキーテクノロジーの一つとして期待されている。

 IHIは、CO₂回収技術や、CO₂排出/削減量をブロックチェーン技術により記録・見える化し、環境価値に変換して外部市場に流通させるサービス「環境価値管理プラットフォーム」など、多様なソリューションを組み合わせるエンジニアリングサービスの提供によって、2050年カーボンニュートラルの実現に貢献していく。

(1) CCU:Carbon dioxide Capture, Utilization(CO₂回収・有効利用)の略 (2) グリーンイノベーション基金事業:「2050年カーボンニュートラル」に向けてエネルギー・産業部門の構造転換や、大胆な投資によるイノベーションといった現行の取組を大幅に加速するため、NEDOに2兆円の基金を造成し、官民で野心的かつ具体的な目標を共有した上で、これに経営課題として取り組む企業等に対して、最長10年間、研究開発・実証から社会実装までを継続して支援する基金制度。グリーン成長戦略において実行計画を策定している重点14分野を中心に支援が行われる。

 詳細は、ニュースリリース

モバイルバージョンを終了