伊藤忠商事は11月28日、食品残渣からメタン発酵を経てバイオガスを製造する装置の製造・販売を行う米国ベンチャー企業Impact Bioenergy社(本社:米国ワシントン州、President:Tim Tiscornia 、以下、インパクトバイオエナジー社)に出資したと発表した。
米国では環境保護の観点から埋め立てごみの規制が強化され、ごみ排出総量を削減する意識が高まっており、カリフォルニア州は2022年1月から各自治体に対して有機性廃棄物の回収サービスの提供及びリサイクルを義務化するなど、廃棄規制の流れが広がりつつある。また2022年8月には連邦政府によるインフレ抑制法案が可決され、再生可能エネルギー・燃料生産事業に対する補助金が一層拡大している。このような状況下で食品残渣に関わる負担を軽減、活用するソリューションが注目を集めている。
インパクトバイオエナジー社は2013年に設立されたベンチャー企業で、食品残渣などの有機廃棄物を活用して中小型の嫌気性メタン発酵を経てバイオガスを製造する装置を開発し、製造・販売している。同社は独自の装置設計、機器製造技術、装置の運転ノウハウ等を有しており、これまでに小売りや大学等での導入を通じて、累計20万時間を超える機器運転実績を積み重ねてきた。装置は中小型のため導入がしやすく、製造されるバイオガスは設置施設の電力、燃料用途に使用されるほか、ごみ処理に関するコストや輸送費を削減することが可能。
伊藤忠商事は、今後ごみの規制が強化されることを背景に、同社の装置が即効性のある食品残渣の処理方法として一層需要が高まると見込んでおり、今回の出資を通じて、インパクトバイオエナジー社の米国内での販売、生産体制の拡大支援や、中長期的には伊藤忠商事の海外ネットワークを活用した海外展開を目指す。
伊藤忠商事は2021年8月に都市ごみからリニューアブル水素を生産する技術を持つ米国・Raven社に投資を実行するほか、廃棄物焼却発電事業では欧州や中東に展開するなど、ごみ資源のエネルギー活用に注力している。今後もインパクトバイオエナジー社への出資を通じて循環型低炭素社会・持続可能な社会の実現に一層貢献していく。