・細胞培養に必要な培地の事業成長加速に向けて約260億円の設備投資を決定
・世界5拠点のグローバル生産体制によりバイオ医薬品の研究開発・製造を強力にサポート
富士フイルム(東京都港区)は11月22日、細胞培養に必要な培地の事業成長を加速させるため、子会社のFUJIFILM Irvine Scientific(フジフイルム アーバイン サイエンティフィック), Inc. (以下FISI)に約260億円の設備投資を行い、培地の生産拠点を米国ノースカロライナ州に新設すると発表した。今回の設備投資により、富士フイルムグループとして世界5拠点※1を有する、培地のグローバル生産体制を構築し、バイオ医薬品の研究開発・製造を強力にサポートしていく。なお、新設する拠点は、2025年に稼働を開始する予定。
培地は、細胞の生育・増殖のための栄養分を含む液状または粉末状の物質で、バイオ医薬品などの研究開発・製造における細胞培養に必要不可欠なもの。現在、抗体医薬品やワクチンなどバイオ医薬品の需要増や、細胞治療・遺伝子治療といった先端医療の発展に伴い、培地のグローバル市場は年率10%以上※2で成長を続けている。
富士フイルムは、高い研究開発力や優れた品質管理力などを強みに、培地ビジネスの拡大を図っている。日本・米国に続き欧州でも、cGMP※3に準拠した、培地の生産拠点を整備し、ますます高まる培地需要への対応を進めている。
今回、富士フイルムは、バイオ医薬品の研究開発・製造を行う大手製薬企業などが集積する米国東海岸地域のノースカロライナ州に、cGMPに準拠した、培地の生産拠点を新設する。これにより、受注から納品までのリードタイムを短縮し、顧客サポート力を強化。米国カリフォルニア州の既存の生産拠点とともに、米国市場における培地需要に応えていく。
新拠点では、動物由来成分を含まない高品質・高機能な培地を安定的に生産。抗体医薬品をはじめとするバイオ医薬品の製造や、先端医療分野である細胞治療・遺伝子治療の研究開発などの用途に培地を提供する。また、顧客ニーズを的確にとらえたカスタム培地の提供も行い、満足度のさらなる向上を図っていく。
富士フイルムは、グループのリソースを活用し、高品質・高機能な培地を開発・提供することで、グローバル展開を加速させている。また、培地のみならず、iPS細胞由来の創薬支援用細胞や研究用試薬などの拡販により、ライフサイエンス事業を拡大させるとともに、医薬品産業のさらなる発展に貢献していく。
※1 米国のカリフォルニア州およびノースカロライナ州(新設)、日本の埼玉県および愛知県、オランダのティルバーグ市の5拠点。
※2 出典:Bioplan, “Culture Media Market and Trends”, 2020.
※3 current Good Manufacturing Practiceの略。医薬品および医薬部外品の最新の製造管理および品質管理規則のこと。
<新設する培地の生産拠点の概要>
拠点名:FUJIFILM Irvine Scientific ノースカロライナ拠点
場所:米国ノースカロライナ州
総投資金額:約260億円
生産品目:抗体医薬品や細胞治療薬、遺伝子治療薬などの研究開発・製造用途の培地など
生産能力:粉体培地:800t/年、液体培地:3,300kL/年
延床面積:約23,500㎡
着工時期:2023年春
稼働時期:2025年