・果物や野菜の品質管理ソリューションを提供するClarifruit社
㈱クボタは11月24日、収穫した果物や野菜の品質管理ソリューションを提供するイスラエルのスタートアップ企業「Clarifruit Ltd.」(以下「Clarifruit社」)へ2022年11月に出資したと発表した。
■出資の背景と概要
クボタは、2019年にオープンイノベーションを推進する「イノベーションセンター」を立ち上げ、国内外スタートアップ企業への出資や協業交渉などを進めて食料・水・環境分野でソリューション事業の開発を加速させている。特に食料分野では、農作物の生産領域だけでなく、フードバリューチェーン全体を支えるトータルソリューションの提供を目指している。
今回出資したClarifruit社は、収穫後の果物や野菜の品質管理プロセス全体をデジタル化するサービス提供を行うスタートアップ企業。品質検査を自動化するモバイルアプリと、出荷する作物の品質データを一元管理・共有するクラウド型プラットフォームを提供している。北米や欧州を中心に展開しており、生産者や卸売・小売業者などの流通関係者が顧客。
一般的に青果生産者の品質検査は、手作業が主流とされている。収穫時の検査では品質判定のばらつきや記録誤りが発生しやすく、また、生産者が流通関係者ごとに作成する品質検査報告書においても人為的なミスが起きやすく提出までに時間を要するといった課題があった。
生産者はClarifruit社のスマートフォンアプリを用いて青果の大きさや色などの品質をAI画像認識で判定し、そのデータはClarifruit社のプラットフォーム上に即時アップロードされる。また流通関係者ともプラットフォームを通して必要な情報の共有が可能で、流通関係者の要望に合わせた品質検査報告書を自動生成することもできる。
このように、正確な品質データを生産者と流通関係者の間で一元的に共有することで、客観的なデータに基づいて意思決定を行う仕組みを構築する。生産者と流通関係者が相互に品質データを根拠とした価格交渉がしやすくなり、また品質ミスマッチによる返品を未然に防止できるようになる。青果取引の円滑化を支えると同時に、食品廃棄物の削減にも貢献する。
クボタは、フードバリューチェーンの川下にあたるClarifruit社への出資により品質管理プロセスの知見を獲得し、食料分野のトータルソリューションの構築に向けて邁進していく。
<Clarifruit社の概要>
会社名:Clarifruit Ltd.(https://www.clarifruit.com/)
事業内容:収穫後の果物や野菜の品質検査を自動化するAIを活用したモバイルアプリと、品質データを一元管理・共有するクラウド型プラットフォームの提供
設立年:2018年
所在地:イスラエル、リション・レジオン